この記事でわかること
ベッド柵で起きる事故と、カバーで防げること
挟み込み・内出血・皮膚裂傷——カバーがあるだけで防げる事故があります。
ベッド柵カバーのおすすめ3選と選び方
クッション性・価格・サイズの合わせ方まで現場目線で解説します。
お金をかけない代用アイデアと、カバーを付けてはいけないケース
抱き枕や100均クッションでの工夫も紹介。付けない方が良い場合もあります。
介護ベッドのサイドレール(ベッド柵)に手や足が挟まる事故は、毎年起きています。消費者庁も繰り返し注意喚起を行っており、最悪の場合は死亡事故に至るケースもあります。
「うちは大丈夫」と思っている方も多いのですが、介護の現場では、柵にぶつけて腕に内出血ができている方を本当によく見かけます。挟み込みまではいかなくても、寝返りのたびに柵に当たって紫斑(あざ)ができるのは日常茶飯事です。
カバーがあるだけで、こうした事故はかなり防げます。
この記事では、ベッド柵カバーの選び方・おすすめ商品・お金をかけない代用アイデア、そしてカバーを付けない方がいいケースまで、福祉用具専門相談員の立場から解説します。
① ベッドの柵で起きる事故
手や足の挟み込み
サイドレールの隙間に手や足が入り込み、抜けなくなる事故です。特に認知症の方や、寝ている間に無意識に体を動かす方に多く起きます。
サイドレール同士の隙間、サイドレールとベッド本体の隙間、サイドレールとヘッドボードの隙間——挟まれる箇所は複数あります。
古いベッド(2009年のJIS改正以前の製品)は隙間が大きい場合があるため、特に注意が必要です。
柵にぶつけて内出血・皮膚裂傷
挟み込みほど重大ではないものの、現場で一番よく見るのがこれです。
寝返りのたびに腕や足がサイドレールの金属部分に当たり、内出血(紫斑)ができる。高齢者は皮膚が薄く、血管も脆いため、少しぶつけただけでも青あざになります。ひどい場合は皮膚が裂ける「スキンテア」になることも。
「また腕にあざができている…」と気になっている方は、カバーを付けるだけで改善するケースがほとんどです。迷っているなら、すぐに付けた方がいい。
背上げ時の挟み込み事故
これは介護者側の不注意で起きる事故ですが、現場では割とあります。
電動ベッドの背上げ操作をしているとき、利用者さんがサイドレールを掴んでいるのに気づかず、そのまま背上げを続けてしまう。柵と体の間に手が挟まれて、骨折や圧迫損傷になったケースもあります。
認知症の方は「柵を掴んではいけない」という指示を覚えていられないことがあるため、背上げ操作の前に必ず手の位置を確認してください。
② ベッド柵カバーの選び方|買う前に確認すること
サイドレールの長さを測る
ベッド柵カバーを買う前に、必ずサイドレールの長さ(横幅)を測ってください。これが一番大事です。
サイドレールはメーカーによって長さがバラバラです。同じベッドでも、付属するサイドレールの種類が複数ある場合があります。「買ったけどサイズが合わなかった」というのが最も多い失敗です。
測るのは、サイドレールの内側の横幅(柵の端から端まで)と高さです。市販のカバーは幅90〜100cm対応のものが多いですが、それより短い柵もあるので必ず確認してください。
クッション性が必要かどうか
カバーには大きく分けて「クッション入り」と「クッションなし」の2種類があります。
・柵にぶつけて内出血ができる → クッション入りがおすすめ
・挟み込み防止だけが目的 → クッションなしでもOK(安くて済む)
クッション入りは価格が高くなりますが、ぶつけたときの衝撃を吸収してくれるので、紫斑予防には効果的です。
介護保険でレンタルしている場合
介護保険で電動ベッドをレンタルしている場合は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してください。
レンタル品には「カバー付きサイドレール」が用意されていることがあります。交換するだけで済む場合は、自分で購入する必要がありません。まずは担当の相談員に「柵にぶつけて内出血ができている」「挟み込みが心配」と伝えてください。
介護職として伝えたいこと
サイドレールはメーカーによっても型番によっても寸法がバラバラで、「これがおすすめ!」と1つに絞るのがネットでは正直難しい商品です。
でも、迷っているくらいならとりあえず付けた方が絶対いい。カバーがあるだけで内出血や挟み込みが無くなります。「サイズが合うか不安」な方は、まずサイドレールの長さを測って、それに合ったカバーを選んでください。
③ おすすめのベッド柵カバー3選
現場でよく使われている3商品を、特徴の違いで紹介します。
特殊衣料 サイドレールクッションカバー(片側)——施設の定番
介護施設で一番よく見かけるベッド柵カバーです。クッション性が高く、ぶつけても痛くない厚みがあります。
耐薬品性の合皮レザー素材で、アルコールや次亜塩素酸での拭き取り消毒が可能。感染対策の面でも安心です。ボタン3ヶ所で簡単に着脱できます。
ただし、価格がかなり高いのが難点。片側で¥8,000〜12,000程度するため、両側に付けると¥16,000〜24,000になります。施設では予算が取れますが、在宅で個人購入するにはハードルが高い商品です。
・価格:約¥8,000〜12,000(片側)
・素材:合皮レザー(耐薬品性)
・クッション:あり(厚め)
・お手入れ:アルコール・次亜塩素酸拭き取りOK
・対応サイズ:製品により異なる(要確認)
丸田シャツ あんしんベッド柵カバー——コスパ重視
挟み込み防止が主な目的で、コストを抑えたい方におすすめのカバーです。
「クッションなし」と「クッション入り(ウレタン3cm)」の2タイプがあります。
クッションなしタイプは撥水加工のポリエステル素材で、汚れてもサッと拭き取れます。4ヶ所の紐で簡単に装着可能。洗濯機でも洗えるので衛生的です。挟み込みを防ぐだけの目的なら、クッションなしで十分です。
クッション入りタイプはウレタンフォーム(厚さ3cm)が入っていて、ぶつけ防止にも対応。クッションは取り外し可能です。
サイズは幅100×高さ40cmで、幅90〜100cmのサイドレールに対応。透明タイプもあり、カバー越しに利用者さんの様子が見えるのが便利です。
パラマウントベッド社製の主要なサイドレール(KS-126B、KS-126C、KS-161Q、KS-166など)に対応しています。
・クッションなし:約¥3,000〜4,000
・クッション入り:約¥6,000〜7,300
・素材:ポリエステル(撥水加工)
・お手入れ:洗濯機OK / 拭き掃除OK
・対応サイズ:幅90〜100cmのサイドレール
亀屋 便利なサイドレールカバー——クッション性とコスパの両立
「クッション性がほしいけど、特殊衣料は高すぎる」という方に。クッション入りでありながら、特殊衣料より安く手に入るモデルです。
メッシュ素材で通気性が良く、カバーを通して利用者さんの様子が確認できます。持ち手部分にはカバーがかからない設計のため、サイドレール上部を握って立ち上がることも可能です(※ただし後述の注意点あり)。
サイズ調整用のベルト付きで、幅500〜980mmのサイドレールに対応。対応幅が広いのが特徴です。
・価格:約¥5,000〜7,000
・素材:メッシュ(フュージョン ナイロン74%・ポリエステル26%)
・クッション:あり
・お手入れ:洗濯可
・対応サイズ:幅500〜980mm(ベルト調整)
| 商品名 | 価格 (片側) |
クッション | 素材 | 対応幅 | こんな方向け |
|---|---|---|---|---|---|
| 特殊衣料 サイドレール クッションカバー |
¥8,000〜 | ◎ 厚い | 合皮レザー (耐薬品) |
要確認 | 施設・予算が 取れる方 |
| 丸田シャツ あんしんベッド 柵カバー ★コスパ◎ |
¥3,000〜 (クッション無) ¥6,000〜 (クッション有) |
なし / あり 選べる |
ポリエステル (撥水加工) |
90〜100cm | 在宅で コスパ重視 |
| 亀屋 便利なサイド レールカバー |
¥5,000〜 | ○ あり | メッシュ (通気性◎) |
500〜980mm 幅広対応 |
クッション性+ コスパ両立 |
④ カバーを付けてはいけないケース
ベッド柵カバーは万能ではありません。付けない方が良いケースがあります。
⚠ カバーを付けない方がいい人
起き上がるときにサイドレールを掴む方には、カバーを付けないでください。
カバーで柵が覆われると、掴まるところがなくなります。掴む場所を失った結果、不安定な姿勢で起き上がろうとして転倒する——これでは本末転倒です。
サイドレールを掴んで起き上がる習慣がある方は、カバーは付けず、なるべく注意を払って挟み込みを防ぐのが理想です。
……あくまでも「理想」です。現実は、24時間ずっと周りに気を配れるほど余裕はありません。でも、掴まる動作を奪ってしまうリスクの方が大きいので、この場合はカバーを見送ってください。
⑤ お金をかけない代用アイデア
「カバーを買うにはちょっと…」という方に、現場で見てきた工夫をいくつか紹介します。
抱き枕を柵と体の間に挟む
一番手軽な方法です。抱き枕を体とサイドレールの間に差し込むだけで、柵に直接ぶつけるのを防げます。
内出血予防としては十分な効果があります。挟み込み防止にはなりませんが、柵にぶつけて紫斑ができる方にはすぐに試せる対策です。
ベッドの幅は多少狭くなりますが、ほとんどの方は気にならないレベルです。
座椅子をまっすぐにしてカバー代わりにする
以前、利用者さんのご家庭で見かけた工夫です。使わなくなった座椅子を真っすぐに伸ばして、サイドレール全体を覆うように立てかけていました。
高さが足りない場合でも、座椅子の背もたれ部分で柵の大部分をカバーできます。クッション性もあるので、ぶつけても痛くない。これは知恵だなと思いました。
ベッドの幅はさらに狭くなるのが欠点ですが、お金はゼロです。
安いカバーの中に100均クッションを入れる
丸田シャツの「クッションなし」カバー(約¥3,000)を買って、中に100均やホームセンターで売っているウレタンクッションを差し込むと、クッション性のあるカバーが安く作れます。
クッション入りモデルを買うより安く済みますし、クッションの厚みも自分で調整できます。手間はかかりますが、コスパは最強です。
手作りする
サイドレールの形に合わせてカバーを手作りする方法もあります。
布と紐(またはマジックテープ)があれば作れます。中にタオルや薄いクッション材を入れれば、クッション性も確保できます。
市販品はサイズが合わないことがあるので、手作りが一番ぴったり合います。裁縫が得意な方にはこれが最適解かもしれません。
まとめ
介護ベッドのサイドレールによる事故は、カバーを付けるだけでかなり防げます。
選び方のポイント:
・まずサイドレールの長さ(横幅)を測る
・挟み込み防止だけなら「クッションなし」でOK(丸田シャツ 約¥3,000〜)
・ぶつけて内出血ができるならクッション入り(亀屋 約¥5,000〜)
・予算がある・施設利用なら特殊衣料(約¥8,000〜)
・起き上がるとき柵を掴む方にはカバーを付けない
介護保険でベッドをレンタルしている方は、カバー付きサイドレールに交換できる場合があります。まずはケアマネジャーか福祉用具専門相談員に相談してみてください。
迷っているなら、とりあえず付けた方がいい。カバーがあるだけで内出血や挟み込みが無くなります。
介護職として伝えたいこと
「腕にまたあざができてる…」と毎回気づいているのに、何もしないまま過ごしている方が多いです。カバー1枚で解決することなのに、知らないだけで放置されている。
¥3,000のカバーで内出血がなくなるなら、安い買い物です。迷っているなら、今日測って、明日買ってください。


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