この記事でわかること
1介護用コップが向いている3つのケース+吸い飲み器が向くケース——水分不足・誤嚥・持ちにくさで整理します
2お悩み別のおすすめ商品——メモリ付き・斜めカップ・持ち手付き・ストロー付き・吸い飲み器を紹介します
3誤嚥を防ぐ飲み方のコツ——コップの形だけでなく、姿勢のポイントも合わせて解説します
介護用のコップをおすすめするのは、主に次の3つのケースです。①水分をあまりとらない人、②誤嚥(ごえん)の危険性がある人、③普通のコップが持ちにくい・こぼしてしまう人。さらに、起き上がるのがつらい、朝はベッドから起きられない、横向きにしかなれないという方には「吸い飲み器」もおすすめしています。
この記事では、それぞれのお悩みごとに、どんな仕組みのコップが向いているのか、具体的な商品と合わせてご紹介します。
①水分をあまりとらない人には「メモリ付きコップ」
高齢になると、コップ一杯のお茶を最後まで飲みきれない方が多くなります。脱水や便秘の予防のために水分をとってほしくても、「もう飲んだ」と本人が言って、それ以上飲んでくれないこともよくあります。
そこで役立つのが、メモリ(目盛り)付きのコップです。自分がどれくらい飲んだのか、あとどれくらい飲めばいいのかが目で見てわかります。本人が目盛りを見て自分から「ここまで飲もう」と思ってくれるのが理想ですが、実際にそこまでうまくいくケースは多くありません。むしろ、介護者が「この線まで飲みましょうね」と声をかけやすくなることが、メモリ付きコップの一番の役割です。
みまもりマグ(三信化工)
約50mL刻みの目盛りが付いており、飲んだ量が一目でわかります。持ち手付きで、持ちやすさも兼ね備えています。
スイートマグ(信濃化学工業)
200・150・100mLの位置に目盛りラインが入った高比重PP製のカップです。取っ手が太めで持ちやすく、6色展開でご本人の好みに合わせやすいのも特徴です。
「全部飲んで」ではなく「この線まで飲みましょう」と声をかけられるだけで、介護者側の負担がかなり減ります。目盛りは本人のためというより、介護する側のための工夫だと考えています。
②誤嚥の危険性がある人には「斜めカップ」
飲み物を飲むときに首を上げれば上げるほど、誤嚥の危険性は高まります。上を向く姿勢では喉の入り口が開きやすくなり、飲み物が気管に流れ込みやすくなるためです。逆に、あごを軽く引いた姿勢(頸部前屈位)は、誤嚥を防ぐ基本の姿勢として医療現場でも推奨されています。
誤嚥防止のコップには、あらかじめ斜めに角度がついていて、首を上げなくても少し傾けるだけで飲み物が流れてくるタイプがあります。似たタイプに、鼻が当たる部分がカットされていて、コップをまっすぐ傾けられるようになっているものもありますが、長年の癖でついつい首を上げてしまう方が多いため、私は最初から斜めに加工されているタイプをおすすめしています。
エルカップ2/Lcup2(T&M)
介護現場から生まれた、斜め形状の誤嚥防止カップです。首を上げずに飲める設計で、安定した底面でこぼれにくいのも特徴です。
ライフコップ スリム(信濃化学工業)
首を上げずに飲める工夫がされた、蓋付きのコップです。ピーチなど複数のカラー展開があります。
どんなに良いコップを選んでも、結局は本人の飲み方の癖が出てしまいます。心配な場合は、コップ選びと合わせて「あごを引いて飲む」姿勢も一緒に声かけしてあげてください。
むせこみが頻繁に起きる、体重減少がある、発熱を繰り返すなどの様子がある場合は、コップの工夫だけで対応せず、早めに医師や言語聴覚士(ST)に相談してください。
③コップが持ちにくくなった人には「持ち手が持ちやすいタイプ」
普通のマグカップは、取っ手を指で引っかけて持つ形になっています。介護用のコップは、コップ自体に手を添えて包み込むように持てる形になっているものが多く、握力や指の力が弱くなっても持ちやすいのが特徴です。
木目 持ちやすいコップ(スケーター)
軽量で割れにくく、手を差し込んで安定して持てる形状です。温めた飲み物を入れても熱くなりにくいのも嬉しいポイントです。
UDマグカップ 柄付(信濃化学工業)
L字型の持ちやすい取っ手が付いたメラミン製のマグカップです。内側に目盛りラインも入っており、花柄などのデザインが選べるので、生活感が出にくいのも魅力です。食洗機に対応していますが、メラミン製のため電子レンジは使用できません。
握力が落ちてきた方には、取っ手を「つまむ」タイプより、コップ全体を「包み込む」タイプのほうが安心して持てることが多いです。
④コップを持ち上げるのが大変な人には「ストロー付きコップ」
コップを傾けるより、ストローで吸うほうが楽な方にはストロー付きコップがおすすめです。ストローを吸う力が衰えてきた場合は、ストローを短く切って、常にコップを満タンにしておくと、より少ない力で飲めるようになります。
蓋がついているので、コップを倒してしまいがちな方にも安心です。ベッドに引っ掛けられるタイプもあり、夜中に喉が渇いたときにもすぐ手に取れます。
ハビナース ストロー付きカップ(ピジョン)
一口ごとに息をつぎながら飲める、誤嚥しづらい設計のストロー付きカップです。パーツが少なく、洗いやすいのも特徴です。
安定ストローコップ(アサヒ興洋)
目盛り付きで、ストローがついていて飲みやすいコップです。
ストローを短くカットする工夫は、ご家庭でもすぐできます。市販のストローが使えるタイプなら、長さの調整だけで吸う力の負担を減らせます。
⑤寝たまま飲ませたい人には「吸い飲み器」
吸い飲み器は、寝たままの姿勢で飲めるタイプの器です。起き上がるのがつらい方、朝起き上がれない方、横向きにしかなれない方に紹介しています。主に、介護者が飲ませてあげるための道具です。
ホルダー付吸いのみ器(浅井商事)
2種類の吸い口が付いており、飲み物に合わせて使い分けられます。ホルダーは回転するので、飲ませやすい角度に調整できます。
寝たまま飲む姿勢は、誤嚥のリスクが高い姿勢でもあります。少しでも上体を起こせる状態なら、無理のない範囲で角度をつけてから飲ませてあげてください。
まとめ
✔ 誤嚥が心配な人には、首を上げずに飲める斜めカップがおすすめ
✔ コップが持ちにくい人には、包み込むように持てる持ち手タイプを
✔ 吸う力に合わせてストロー付きコップも選択肢に
✔ 寝たまま飲む方には吸い飲み器。ただし誤嚥リスクには注意



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