年を重ねたり、病気やケガの影響で、ボタンが急に留められなくなったと感じることはありませんか?
「指先に力が入らない」「細かい動きができない」「ワイシャツのボタンが固くて時間がかかる」
こうした悩みは、福祉用具の相談の中でも非常に多い内容です。
この記事では、ボタンが留めにくくなる原因と、まず試してほしい基本の工夫を紹介した上で、「ボタンエイド」という補助具の使い方とおすすめ商品を、福祉用具専門相談員の立場から解説します。
ボタンエイドは¥1,500〜3,000円程度で買えるので、試しやすいのも良いところです。
この記事でわかること
ボタンが留めにくくなる原因と、まず試してほしい工夫
道具を使う前にできることもあります。
ボタンエイドの使い方とおすすめ3選
片手でも使える補助具。選び方を比較表で整理します。
ボタンエイド以外の選択肢
マジックテープ化、大きいボタンの服、ケアファッションも紹介します。
介護職が選ぶ おすすめの1つ
パートナー2(ウインド)
大小2サイズのフック付きで、シャツからズボンまで対応。丸い持ち手で握りやすく、指を通す穴付き。
¥1,870〜。介護現場で一番よく見かけるボタンエイドです。
目次
① なぜボタンが留めにくくなるのか?
ボタンを留める動作には、単に「力」だけでなく、指先の細かい動き(巧緻性)が必要です。
次のような変化が重なると、ボタン留めは一気に難しくなります。
・指先に力が入りにくくなる(加齢・関節リウマチなど)
・指が思うように動かない(片麻痺・神経障害など)
・震えやしびれが出てくる(パーキンソン病・手根管症候群など)
・片手しか使えない(脳卒中後遺症など)
「まだ服は着られるのに、ボタンだけがつらい」という方は実はとても多いです。ボタンが留められないことで、おしゃれを諦めたり、外出をためらったりする方もいます。
② まず試したい|ボタンを楽にする基本の工夫
いきなり道具を使わなくても、動かし方や服の選び方を少し変えるだけで楽になることがあります。
【動作の工夫】
・ボタンを留める前に、服を軽く引き寄せてボタンとボタン穴を近づける
・ボタン穴を指でしっかり広げてから通す
・肘や腕を体に近づけて安定させる
・下のボタンから順番に留める(目で見やすい)
【服の工夫】
・ワイシャツのボタンが固い場合は、新しいうちにボタン穴を何度か開閉して馴染ませる
・ボタンを一回り大きいものに付け替えてもらう(手芸店やお直し屋で対応可能)
・ボタンの裏に「ボタンゴム」を通すと、ボタンを外さなくても服を脱げるようになる
それでも難しい場合は、「道具を使ったほうが楽になるサイン」です。
③ ボタンエイドとは?
ボタンエイドは、指先の力が弱くてもボタンを留められるようにする補助具(自助具)です。
先端にワイヤーのフックが付いていて、ボタンに引っかけてボタン穴から引き抜く仕組みです。指で細かくつまむ動作が不要になるため、片手でも操作できます。
高齢者の方、片麻痺の方、関節リウマチの方、手根管症候群の方など、幅広い方に使われています。
「こんな道具があるなんて知らなかった」と言われることがとても多いアイテムです。
正直に言うと、最初は少しコツが要ります。私も10回ほど練習してスムーズにできるようになりました。ただ、慣れてしまえば片手でも20秒ほどでシャツのボタンが全部留められます。
④ ボタンエイドの使い方(写真付き)
基本の手順は4ステップです。
① ボタンエイドのフック(針金部分)を、ボタン穴の表側(外側)から差し込む
② フックでボタンを引っかける
③ そのままボタンエイドごと、ボタンを穴から引き抜く
④ ボタンが穴を通ったら完了
ポイントは「引っかけて引く」だけ。指でつまむ動作が要らないので、力が弱くても大丈夫です。
ファスナー付きのボタンエイドなら、チャックの上げ下げも反対側のフックでできます。

⑤ おすすめのボタンエイド3選
介護の現場でよく使われている3商品を紹介します。どれも¥1,500〜3,000円台で、Amazonや楽天で購入できます。
パートナー2(ウインド)★おすすめ
介護現場で一番よく見かけるボタンエイドです。
大小2つのフックが付いていて、シャツの小さいボタンからジーンズの大きいボタンまで対応できます。本体は丸い形状で握りやすく、指を通す穴も付いているので落としにくい設計。
「迷ったらこれ」の1本です。
・価格:約¥1,870〜
・フック:大小2サイズ
・ファスナーフック:なし
・特徴:丸型で握りやすい、指穴付き
ファスナーボタンエイド
シャツサイズのボタンフックと、反対側にファスナーを引き上げるフックが付いた2WAYタイプです。
ボタンとチャック、両方に困っている方にはこれ1本で対応できます。持ち手はストレートで、細身のため手の小さい方にも持ちやすいです。
・価格:約¥1,560〜
・フック:ボタン用1サイズ
・ファスナーフック:あり
・特徴:ボタン+チャック両対応
ソフトグリップ ボタンかけ
太くて柔らかいグリップが特徴のボタンエイドです。
手指に力が入りにくい方でも安定して持てるように、外周約9.5cmの太めのグリップにクッション素材を採用。作業療法士が設計した商品で、関節リウマチや神経障害のある方にも使いやすい設計です。ファスナーフック付き。
3つの中で一番「持ちやすさ」に特化しています。握力が弱い方にはこれが一番おすすめです。
・価格:約¥2,860〜
・フック:ボタン用1サイズ
・ファスナーフック:あり
・特徴:太い柔らかグリップ・作業療法士設計
| 商品名 | 価格 | ボタン フック |
ファスナー フック |
持ちやすさ | こんな方向け |
|---|---|---|---|---|---|
| パートナー2 ★おすすめ |
¥1,870〜 | 大小2つ | × | ◎ | 迷ったら これ |
| ファスナー ボタンエイド |
¥1,560〜 | 1サイズ | ○ | ○ | ボタン+ チャック両方 |
| ソフトグリップ ボタンかけ |
¥2,860〜 | 1サイズ | ○ | ◎◎ | 握力が 弱い方 |
⑥ ボタンエイドが合わない場合の選択肢
ボタンエイドはとても便利ですが、練習してもうまく使えない方もいます。認知機能の低下で手順を覚えるのが難しい場合や、両手とも使えない場合などです。
そんなときは、服そのものを変える方法もあります。
ボタンをマジックテープに替える
今着ている服のボタンを外して、同じ位置にマジックテープを縫い付ける方法です。
見た目はボタンが付いたまま(飾りボタンにする)で、実際はマジックテープで留める仕組みにできます。手芸店やお直し屋さんで1着¥1,000〜2,000円程度で対応してもらえます。
マジックテープは色違いにすると、掛け間違いを防げます。
大きいボタンの服を選ぶ
最初からボタンが大きい服を選べば、指の力が弱くても留めやすくなります。
目安として、直径15mm以上のボタンなら格段に留めやすくなります。最近は大きめボタンのおしゃれなシャツやカーディガンも増えています。
ケアファッションを利用する
「ケアファッション」は、大きなボタンの服やマジックテープ式の服を専門に扱っているお店です。見た目は普通の服なのに、着脱がしやすいように設計されています。
前開きの肌着、ワンタッチで留められるパジャマ、車椅子対応のズボンなど、介護の場面で本当に助かる商品がたくさんあります。
まとめ
ボタンが留めにくくなる原因は、指先の力の低下・巧緻性の低下・片麻痺など、さまざまです。
まずは動作の工夫や服の選び方を見直し、それでも難しければボタンエイドを試してみてください。¥1,500〜3,000円程度で手に入り、練習すれば片手でもボタンが留められるようになります。
3つの商品で迷ったら「パートナー2」。大小のボタンに対応でき、握りやすく、介護現場で一番よく使われている定番です。
ボタンエイドが合わない場合は、マジックテープ化やケアファッションという選択肢もあります。大切なのは「ボタンが留められないから諦める」のではなく、道具や工夫で「自分でできる」を続けることです。
介護職として伝えたいこと
「ボタンが留められない」は、些細なことのように見えて、本人にとっては自尊心に関わる問題です。自分で服を着られなくなることで、外出をやめてしまう方も少なくありません。
ボタンエイドは¥2,000前後の小さな道具ですが、「自分でできる」を取り戻すきっかけになります。まずは1本、試してみてください。
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