この記事でわかること
1「安いおむつ」を使うのは節約にならない場合がある——皮膚トラブルによる医療費の方が高くつくことがあります。
2排尿パターンを把握して3種類のパッドを使い分ける——実際に祖父の介護で行った、皮膚トラブルゼロ・無駄ゼロの方法。
3どこで買うのが安いか・ケース買いのタイミング——通販・薬局・ホームセンターそれぞれの使い方。
「おむつ代をもう少し安く抑えられないか」
在宅介護をしていると、毎月のおむつ代は決して小さな出費ではありません。でも、おむつの節約は単純ではありません。
なぜなら、おむつが必要な方の排尿量・排尿のタイミング・必要な吸収量・交換頻度・介護力は、一人ひとりまったく違うからです。「安くする方法」が万人に当てはまるものは存在しません。
この記事では、まず「やってはいけない節約」の話から始め、私が祖父の介護で実際に行った「3種類のパッドの使い分け」と、買い方の工夫をお伝えします。
先に一番大切なことを言ってしまうと——
正しい吸収量のパッドを、正しいタイミングで使うこと。これが最大の節約です。
目次
① やってはいけない節約——安いおむつ・交換を減らす
「安いおむつを使えば節約できる」「交換を減らせば枚数が減る」——この発想は危険です。
品質の低いおむつを使い、交換回数を減らして、常に濡れた・汚れた状態が続くとどうなるか。
よほど皮膚が強い方でない限り、床ずれ(褥瘡)や皮膚トラブルが起きます。初期であれば軟膏で対応できますが、放置すると深くただれ、最終的には入院が必要になることもあります。
入院すると、おむつ代の節約どころではありません。入院費・処置代・薬代で、節約した分をはるかに超える出費になります。
おむつ代を節約するとしても、「安全・清潔・快適」の範囲を守ることが大前提です。
おむつ代を減らそうと品質を落としたり、交換を減らしたりした結果、皮膚トラブルが起きて通院・入院になったケースを現場でたくさん見てきました。おむつ代の節約は、適切な品質を保った上で考えてください。
② 最大の節約は「その人に合ったおむつを正しく選ぶ」こと
適切な範囲での節約を考えたとき、最も効果があるのは「その人に必要な最低限の吸収量を正確に把握すること」です。
「大は小を兼ねる」でいつも多めの吸収量のパッドを使っていると、パッド代が無駄にかかるだけでなく、厚みで動きにくくなる、ギャザーがつぶれて漏れるという問題も起きます。
正しい吸収量の計測方法は「おむつの選び方」の別記事で詳しく解説しています。まだ読んでいない方は先にそちらを確認してください。
2回分の安いパッドをこまめに vs 4回分を長く——どちらが節約?
よく聞かれる質問に「安い2回分のパッドをこまめに替えるのと、4回分のパッドを2回排尿してから替えるのはどちらが安いか」というものがあります。
純粋なコストの計算だけでいえば、4回分のパッドを2回分まとめて吸収させてから交換する方が安くなります。
ただし、これはケアされる方の「快適さ」を無視した計算です。
私はおむつの研修で、実際に何度も自分のおむつの中に排尿したことがあります。率直に言います。
排尿した直後、ぬるい尿がだんだん冷たくなっていきます。ポリマーが固まってお尻に当たって痛くなります。尿が皮膚に触れたままなのでずっと痒い。夏はむれて不快で、冬は冷たくて不快。
「一刻も早く替えてほしい」という気持ちでいっぱいでした。
これを踏まえると、節約と快適さのバランスを取るなら、「排尿後できるだけ早く交換する」という方針が、皮膚トラブルを防ぎながら必要最小限のパッドを使う最善策です。
研修でおむつを実際に体験するのは、専門職として一番大切な経験です。「これがどれだけ不快か」を知っているかどうかで、ケアの質が全然違います。交換を我慢させることの「代償」を、数字だけで考えてはいけません。
③ 私が祖父の介護で実践した「3種類パッドの使い分け」
私は自分の祖父のおむつ選定を担当し、祖母に交換指導を行いながら実際のケアを続けました。結果として、皮膚トラブルがなく、パッドの無駄もなく、シーツへの漏れもほとんどない状態で管理できたと思っています。
使ったのは、3種類のパッドの使い分けです。
まず「排尿日記」で排尿パターンを把握する
日中のケアの前に、まず排尿日記をつけて「大体いつ頃排尿するか」を把握しました。
1日のスケジュールが決まっている方は、排尿の時間も大体決まっていることが多いです。食事・水分補給・活動の時間が一定だと、排尿パターンも安定してきます。
この「何時頃に排尿するか」がわかれば、その時間に合わせて交換できるため、長時間濡れた状態のままになることを減らせます。
📋 3種類のパッドの使い分け方
【パッド①:日中・基本用】吸収量に合った安いパッドを排尿後すぐに交換
吸収スピードが速い・抗菌・消臭などの付加価値は不要。吸収量だけ合っていれば十分。排尿日記で把握した排尿時間に合わせてこまめに交換する。排尿後のパッドを付けている時間をなるべく短くする。
【パッド②:外出・デイサービスなど交換できない日用】吸収量多め+快適機能あり
時間通りに交換できない日(デイサービス・外出・家不在)は、通常より吸収量を多くしたパッドに変更。さらに「素早く吸収してくれる」「皮膚に付着しにくい」機能のあるパッドを選ぶ。排尿後も気持ち悪くなりにくい構造のものが理想。
【パッド③:夜間用】一晩分の吸収量+素早く吸収・皮膚に触れない設計
夜間は一度も交換しない。そのため一晩分の吸収量があるパッドを使用。排尿後のぬるさ・冷たさが気にならないよう、素早く吸収してくれるものを選ぶ。夜は眠剤も活用し、朝まで寝てもらうことで本人・介護者ともに休めるようにした。
3種類もパッドを使い分けるのは大変そうに聞こえますが、「基本用・外出用・夜間用」と役割がはっきり分かれているので、慣れると自然にできるようになります。この方法が最もトラブルなく、無駄なく使えた実感があります。
排尿パターンを安定させることが節約につながる
さらに大切なのが、排尿パターン自体を安定させることです。
・朝昼晩の食事の時間を毎日同じ時間にする
・日中身体を動かす
・足のむくみがある方は、昼間に足上げ・歩行・利尿剤でむくみを解消する
足にむくみがあると、夜寝たときに足に溜まっていた水分が一気に体に戻り、夜間の尿量が急増します。夜間だけ尿量が多すぎておむつで対処しきれなくなるケースが多いのは、このむくみが原因であることがよくあります。
排尿パターンが安定すると、交換タイミングが予測しやすくなり、無駄なく使えるようになります。
④ 助成制度を使う——実は最も効果の大きい節約方法
おむつ代の節約として、一番効果が大きいのは「自治体の助成制度を活用する」ことです。
清須市・北名古屋市・小牧市・一宮市・江南市・岩倉市・犬山市など、名古屋市近郊の自治体には独自のおむつ助成制度がある市があります。たとえば北名古屋市は月15,000円まで、犬山市は月8,500円分が給付されます。
申請が面倒に感じるかもしれませんが、年間で数万円単位の支援になります。条件に当てはまる方は、必ず申請してください。
自治体の助成制度の詳細は「介護保険でおむつは買える?助成制度まとめ記事」で詳しく解説しています。
⑤ どこで買うのが安いか——買い方の工夫
自分で買いに行ける方:薬局・ホームセンターが安い
その時々の安売りを利用できるので、足を運べる方は薬局やホームセンターで購入するのが一番安くなることが多いです。
ただし、「今日はこっちが安いから違うメーカーに変えよう」「Sサイズの方が安いからこっちにしよう」という買い方は避けてください。
メーカーが違えば機能も形も吸収量の感触も違います。「安いから」と変えると、漏れた・合わなかったなどのトラブルが起きやすく、結局無駄になるケースが多いです。
一度選定したパッドは、できる限り変えないようにする。これが安定した節約の基本です。
通販の活用:1袋試してからケース買い
通販は商品ごとに最安値が変わるため、Amazon・楽天など複数のサイトで価格を比較するしかありません。
おむつは徐々に値上げされており、リニューアルや廃盤も多いジャンルです。「同じ商品が1年後もある」とは限らないので、廃盤になったときにはメーカーに「似た商品はどれか」と問い合わせるのも有効です。
まずは1袋(少量)から試して、問題なければ次回からケース買いに切り替えるのが最も安くなります。まとめ買いすると、1枚あたりのコストが下がります。
「お試し→ケース買い」はおむつ選びの鉄則です。合わなかった商品を大量購入してしまうと、返品もできず、使えないのに処分するしかなくなります。特に初めての商品や新しいサイズに替えるときは、必ず少量から試してください。
⑥ その他の節約方法
集尿器を使う
集尿器は使い捨てのおむつ・パッドとは違い、繰り返し使えます。初期費用はかかりますが、長期的に見るとおむつ代より安くなる場合があります。
「紙おむつよりも集尿器の方が向いている」という方には有効な選択肢です。
布製品(洗えるショーツ・パッド用ショーツ)に切り替える
テープ型・パンツ型のおむつを「洗えるパッド用ショーツ(TENAフィックスなど)」に切り替えることで、外側のおむつのコストをなくすことができます。
繰り返し洗えるため、長期的にはコストが下がります。通気性も良く皮膚トラブルが起きにくいというメリットもあります。詳しくはおむつ拒否の別記事を参考にしてください。
⑦ ヘルパーの訪問時間と排尿時間が合わない問題
在宅介護で難しいのが、「排尿のタイミング」と「ヘルパーの訪問時間」がずれることです。
排尿後すぐに交換したくても、ヘルパーさんが来るのは2時間後、という状況は珍しくありません。
解決策として大切なのは、排尿のタイミング自体を安定させることです。
食事の時間・水分を取る時間を毎日一定にする、日中に活動量を増やす、足のむくみをデイサービスや医療で改善する——こうした生活リズムの整え方が、排尿パターンの安定につながります。
ヘルパーの訪問時間に合わせて排尿タイミングを近づけることができれば、交換が最もスムーズに回ります。ケアマネジャーやヘルパー事業所と相談しながら、訪問時間と生活リズムを調整することも大切な視点です。
なお、夜間の排尿量が多すぎて困っている場合は、足のむくみが原因であることが多いです。これは別途、医師や訪問看護師に相談することをおすすめします。
まとめ
✔ 最大の節約は正しい吸収量のパッドを選ぶこと——大きすぎも小さすぎも無駄
✔ 排尿日記で排尿パターンを把握し、3種類のパッドを使い分ける(基本用・外出用・夜間用)
✔ 食事・活動の時間を一定にして排尿パターンを安定させる
✔ 足のむくみを昼間に解消しておくと、夜間の尿量過多を防げる
✔ 助成制度の申請が最も効果的な節約(北名古屋市・小牧市・犬山市など)
✔ 薬局・ホームセンターで買える方は安売りを活用——ただしメーカーを変えるのはNG
✔ 通販は1袋試してからケース買い
✔ 集尿器・パッド用ショーツも長期的な節約になる選択肢
✔ 結局、その人に合った正しいおむつ選定が、最も確実な節約
おむつ代の節約は、「いかに安く済ませるか」より「いかに無駄なく、適切に使うか」の方が長い目で見てはるかに効果があります。
選定に迷ったときは、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してください。このブログからでもご相談いただけます。


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