この記事でわかること
1パッドの重ね使いがNGな理由——防水シートの仕組みを知ると、なぜ意味がないかがわかります。
2男女別の正しい当て方——尿道口の位置が前か後かで、パッドの向きが変わります。
3どうしても重ねたいときの唯一の例外——「両面吸収パッド」なら重ねることができます。
「パッドを何枚か重ねておけば、長時間交換しなくて済む」
こう思って、2枚・3枚と重ねて使っている方、実は今でもとても多いです。
でもこれ、ほぼ意味がありません。それどころか、体へのデメリットがあります。
なぜ重ね使いが意味がないのか、正しい当て方はどうするのか——この記事では、現場で実際に見てきた「よくある間違い」と「正しい使い方」を、おむつの専門家の視点から解説します。
目次
① 基本はアウター1枚+インナー(パッド)1枚
おむつの基本的な使い方は、アウター(パンツ型またはテープ型)1枚+インナー(パッド)1枚の「1枚ずつ」です。
この組み合わせを前提に、おむつもパッドも設計されています。
最近のおむつは世代が前のものと比べて大幅に進化しています。1枚で十分な吸収ができるように、メーカーが設計し直しています。昔の使い方をそのまま続けていると、今の商品の性能を活かしきれていないことがあります。
② パッドの重ね使いがNGな理由
防水シートがあるから、下に浸透しない
パッドの裏面(外側)には、防水シートが貼られています。これは尿がアウターや衣類に染み出るのを防ぐためです。
裏面が防水加工されているということは、上から尿がかかっても下のパッドには届かないということです。
2枚重ねても、下のパッドには尿が届かないので、吸収量は増えません。重ねた意味がないのです。
✗ ごわつき・体の歪み——厚みが増すことで股間が分厚くなり、歩行バランスが崩れたり姿勢に影響が出ることがある
✗ 蒸れによる皮膚トラブル——パッド1枚でも蒸れるのに、3枚も重ねると蒸れが倍増する。おむつかぶれのリスクが大幅に上がる
✗ コストの無駄——吸収量は増えないのにパッドを余分に使うことになる
「濡れたパッドだけ引き抜く」方法について
施設の現場では、パッドを2枚重ねておき、交換時に上の濡れたパッドだけ引き抜いて下のパッドをそのまま使う、という方法が行われていることがあります。
これは人手不足・時間のなさによる現場の苦肉の策です。きっと「本来は良くない」と分かってやっているのだと思います。それほど、介護現場はすでに切迫しています。
在宅介護でこの方法をとる必要はありません。正しい使い方で、交換のたびに新しいパッドに替えてください。
パッドに穴を開けて重ね使いをしている方が、今でもいます。これだけは今すぐやめてください。
穴を開けても防水シートの構造上、大して下には浸透しません。さらに穴から中のポリマーが出てきてしまいます。このポリマーが皮膚についてしまうと、なかなか取れずに皮膚トラブルの原因になります。
「重ね使いをしたい」という状況なら、この後に紹介する「両面吸収パッド」を使う方法が正しい対処です。
③ 男女別の正しい当て方
女性:吸収体を後ろ(お尻側)に多く当てる
女性の尿道口はお尻側に位置しているため、パッドの吸収体を後ろ寄りに当てるのが基本です。
ひょうたん型(前後で幅が異なるタイプ)のパッドの場合、広い方をお尻側にして使います。
男性:吸収体を前(陰部側)に多く当てる
男性の尿道口は前にあるため、パッドの吸収体を前側に当てるのが基本です。
ひょうたん型のパッドの場合、広い方を前(陰部側)にして使います。
ただし、尿も便も出てしまう方は前後両方への対応が必要になります。その場合は、前後カバー範囲が広いパッド(アテントのパンツ用パッドなど)を選ぶか、担当の専門職に相談してください。
男性の「巻き方」について——理想と現実
男性の場合、陰茎を包むように巻く「貝巻き」「縦巻き」などの当て方があります。在宅では交換が楽なためよく使われています。
ただし、陰茎を包む分、蒸れや皮膚トラブルが起きやすくなります。本来推奨される当て方ではありません。
理想は、男女ともにパッドを真っすぐ当てることです。
ただ、現場はいつも理想通りにはいかないことも知っています。「理想はこうだ」と知っておいてもらえるだけで十分です。その上で、無理のない範囲で当て方を工夫してみてください。
「男性は前、女性は後ろ」というのは最初わかりにくいのですが、「尿道口のある方に吸収体を持ってくる」と覚えると迷いにくいです。
④ パッドは必ずギャザーの内側に収める
パッドを当てるとき、テープ型・パンツ型どちらも、パッドは必ずアウターのギャザーの内側に収めてください。
パッドがギャザーの外側にはみ出た状態では、最後の防波堤であるギャザーが機能しなくなります。ギャザーよりもパッドが外側にある状態では、尿がギャザーを飛び越えてそのまま漏れてしまいます。
パッドが大きくてギャザーに収まらない場合
パンツ型と大きなパッドを組み合わせると、パッドがギャザーからはみ出してしまうことがあります。
この場合の対処法は2つあります。
【対処法①:幅の広いパンツを選ぶ】
オンリーワン「前後フリー」など、パッド収容幅が広く設計されたパンツ型おむつを選ぶことで、大きなパッドでも内側に収まりやすくなります。
【対処法②:股がスリムなパッドに変える】
パンツは変えたくない場合は、パッド側を「股の部分が細くなっている」スリムタイプに変えます。「リフレ ズレなく快適紙パンツ用パッド」は股がスリムに設計されており、パンツのギャザーに収まりやすいのでおすすめです。
お尻側のギャザーは多少乗り越えても許容できる場合がありますが、股(鼠径部)のギャザーはパッドが乗り越えないように注意してください。ここは漏れに直結します。
「パッドとパンツのサイズ感が合っていない」というのは、意外と見落とされがちな漏れの原因です。当て方を変えても漏れが続く場合は、このパッドとアウターのサイズ感の組み合わせを確認してみてください。
⑤ どうしても重ねたいときの例外|両面吸収パッド
「どうしても重ねたい」「もっと吸収量を増やしたい」という状況のために、唯一「重ね使いができるパッド」があります。
「両面吸収パッド」です。
通常のパッドと違い、防水シートが貼られていないため、上から下に尿が浸透します。重ねると、単純計算で吸収量が増えます。
ネピア テンダー なんでもパッド
両面吸収パッドの中で特におすすめしているのが「ネピア テンダー なんでもパッド」です。
2種類あります。
・ミニサイズ:小さくて使い勝手が良い。隙間を埋める使い方にも便利。
・通常サイズ:吸収量600cc(約4回分)。通常のパッドと重ねると、単純計算で吸収量が倍近くになる。
通常サイズを重ねれば、吸収量が大幅に増えます。どうしても吸収量が足りない場合の選択肢として有効です。
また、やせていたり拘縮があったりして体とおむつの間に隙間ができてしまい、そこから伝い漏れしてしまう場合にも活用できます。ミニサイズをくるくると丸めて隙間に当てることで、隙間を埋めて吸収してくれます。
「隙間を埋める」という使い方は目からウロコだった方も多いと思います。体の形状による隙間漏れは、当て方を変えても改善しにくいことがあります。そういうケースに、このパッドを丸めて隙間に当てる方法は現場で重宝しています。
⑥ 正しいパッド選びの流れ
パッドは重ね使いで吸収量を増やそうとするのではなく、最初から自分に合った吸収量のものを1枚選ぶことが基本です。
正しい選び方の流れは次の通りです。
STEP 1:排尿量を計測する(キッチンスケール1日計測法)
→ 日中と夜間で別々に計測する
STEP 2:計測した排尿量に合った吸収回数のパッドを選ぶ
→ 1回分=150ml。600mlなら4回分が目安
STEP 3:吸収回数の中から、サイズ・形状・付加価値で選ぶ
→ ギャザーが高い・弱酸性・吸収スピード速いなど
この流れで選べば、重ね使いをしなくても自分に合ったパッドが見つかります。
まとめ
✔ 重ね使いはNG——防水シートがあるため下に浸透しない。ごわつき・蒸れ・皮膚トラブルの原因になる
✔ 穴を開けての重ね使いは今すぐやめる——ポリマーが出て皮膚トラブルの原因になる
✔ 女性は吸収体を後ろへ・男性は吸収体を前へ——尿道口のある方に向ける
✔ パッドは必ずギャザーの内側に収める
✔ パッドが大きくてギャザーに収まらない → 幅広パンツ or スリムなパッド(リフレ ズレなく快適)
✔ どうしても重ねたいなら → ネピア テンダー なんでもパッド(両面吸収で重ね可)
✔ 吸収量は重ねで増やすのではなく、排尿量を計測して1枚で対応できるものを選ぶ


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