この記事でわかること
ラップ式ポータブルトイレの仕組みとメリット・デメリット
ニオイ・処理の手間・介護負担がどう変わるのか、現場目線で解説します。
おすすめのラップ式トイレ3選と選び方
オーブ2・プリート2・ブリオ2を比較。あなたに合う1台がわかります。
消耗品の種類とランニングコスト
フィルム・凝固剤の費用を「1回あたり何円?」で整理します。
介護職が選ぶ おすすめの1台
ラップポン・プリート2(日本セイフティー)
家具調の見た目で部屋になじむ。肘掛け跳ね上げ・キャスター・ペーパーホルダー・暖房便座(選択可)など、ポータブルトイレに必要な機能がすべて揃っています。
どうせ買うなら後悔しない1台を。介護職として一番おすすめしたいラップ式トイレです。
福祉用具の相談を受けていて、最も多い質問のひとつが「ラップ式って実際どうなの?」です。
ラップ式ポータブルトイレは、排泄物を自動でフィルムに密封してくれるトイレです。ニオイが出ない、後処理が楽、バケツを洗わなくていい——と聞くと魅力的ですが、「本体が高い」「消耗品がかかる」という不安もあるはずです。
この記事では、福祉用具専門相談員として実際に現場で使っている経験から、ラップ式トイレのメリット・デメリット、おすすめの3機種、そして気になる消耗品コストまで、全部まとめて解説します。
目次
① ラップ式ポータブルトイレとは?
通常のポータブルトイレは、バケツに排泄物がたまる構造です。使用後にバケツを取り出し、トイレに流し、洗って戻す——この作業が毎回必要です。
一方、ラップ式は排泄後にリモコンのボタンを押すだけ。排泄物が凝固剤で固められ、専用フィルムで自動的に熱圧着されて密封されます。密封された袋はそのまま燃えるゴミとして処分できます(自治体により異なります)。
水を一切使わないので、ポータブルトイレ特有の「バケツ洗い」がなくなります。これが一番大きな違いです。

② ラップ式のメリット
ニオイがほとんど出ない
ラップ式の最大のメリットは、ニオイです。
排泄物が1回ごとにフィルムで密封されるため、部屋にニオイがこもりません。密封に使われるフィルムは医療用に開発された防臭素材(BOS)もあり、臭いだけでなく菌も遮断します。
「部屋にポータブルトイレを置くとニオイが…」という心配が、ラップ式ではほぼなくなります。
介護者の後処理が圧倒的に楽
通常のポータブルトイレでは、使用のたびにバケツを取り出してトイレに流し、洗って消毒して戻す作業が必要です。夜中に何度もこれを繰り返すのは、介護者にとって大きな負担です。
ラップ式なら、密封された袋を取り出して燃えるゴミに捨てるだけ。バケツ洗いがゼロになります。この違いは、毎日の介護において本当に大きいです。
利用者自身で処理できる
リモコンのボタンを押すだけで処理が完了するので、身体機能が残っている方なら自分で処理できます。
「人に排泄物を見られたくない」「自分でできることは自分でしたい」——そういった尊厳を守ることにもつながります。
③ ラップ式のデメリット
本体価格が高い
ラップ式ポータブルトイレの本体価格は、約10万円〜17万円程度です。通常のポータブルトイレ(約1万〜5万円)に比べると高額です。
ただし、介護保険の「特定福祉用具購入」の対象になる場合があり、自己負担1割なら大幅に安くなります(詳しくは後述)。
消耗品のランニングコストがかかる
ラップ式には専用のフィルムカセットと凝固剤が必要です。1回あたり約100〜130円程度のコストがかかります(詳しくは⑥で解説)。
通常のポータブルトイレではバケツ洗いの水道代と洗剤代だけで済むので、ランニングコストは確実にラップ式の方が高くなります。ただし、介護者の時間と体力を「コスト」として考えると、十分に元が取れるという声が多いです。
電源が必要
自動ラップの熱圧着には電源(AC100V)が必要です。コンセントが近くにない場所では延長コードが必要になります。
停電時には専用のハンディバッテリー(別売り)で対応するか、付属の緊急袋を使う方法があります。
④ ラップ式ポータブルトイレ おすすめ3選
ラップ式ポータブルトイレは日本セイフティー社の「ラップポン」シリーズをよくオススメしています。2026年1月にリニューアルされた最新の3機種を紹介します。
3機種とも、処理時間が90秒→60秒に短縮、音声案内付き、使用回数表示機能付きにアップグレードされています。
ラップポン・オーブ2(樹脂製・ベーシック)
樹脂製のベーシックモデルです。曲線的で柔らかなデザインが特徴。
本体が樹脂製のため木製モデルより多少軽いです。介護保険の10万円枠内に収まる価格帯(普通便座で約99,000円)のため、自己負担を抑えたい方に選ばれています。
ただし、肘掛けの跳ね上げやキャスターは付いていません。シンプルに「ラップ式の機能だけほしい」方向けです。
・普通便座:約99,000円(税込)
・やわらか便座:約104,500円(税込)
・暖房便座:約121,000円(税込)
・サイズ:幅544×奥行592×高さ933〜993mm
・座面高:400〜460mm(3段階)
ラップポン・プリート2(家具調・おすすめNo.1)★
家具調の木製モデルで、ポータブルトイレに必要な機能がすべて揃ったモデルです。
肘掛けの跳ね上げができるので、ベッドからの移乗がスムーズ。キャスター付きで掃除の時の移動も楽。ペーパーホルダーも付属しており、トイレットペーパーの置き場所に困りません。座面高も3段階調整可能です。
木製のラバーウッド素材で、部屋に置いても「トイレ感」がなく、家具のようになじみます。
・普通便座:約156,200円(税込)
・やわらか便座:約161,700円(税込)
・暖房便座:約178,200円(税込)
・サイズ:幅542×奥行510×高さ800〜860mm
・座面高:400〜460mm(3段階)
・肘掛け高:180〜240mm(3段階)
ラップポン・ブリオ2(家具調・コンパクト)
プリートと同じ家具調ですが、よりコンパクトなモデルです。
プリートとの違いは、肘掛けの跳ね上げなく固定であること、キャスターが付いていないこと、肘掛け高の調整が2段階であること。その代わり、幅が約6cm小さいため、狭いスペースにも置きやすいのがメリットです。
予算を抑えつつ木製の見た目がほしい方に向いています。
・普通便座:約132,000円(税込)
・やわらか便座:約137,500円(税込)
・暖房便座:約154,000円(税込)
・サイズ:幅480×奥行510×高さ800〜860mm
・座面高:400〜460mm(3段階)
・肘掛け高:210〜240mm(2段階)
| 比較項目 | オーブ2 | プリート2 ★おすすめ |
ブリオ2 |
|---|---|---|---|
| 素材 | 樹脂製 | 木製(家具調) | 木製(家具調) |
| 普通便座の価格 | 約¥99,000 | 約¥156,200 | 約¥132,000 |
| 肘掛け跳ね上げ | 取り外し可能 | ◎ 両側 | × |
| キャスター | 別売り | ○ あり | × |
| ペーパーホルダー | 〇 | ○ 付属 | × |
| 肘掛け高さ調整 | 固定 | 3段階 | 2段階 |
| 本体幅 | 544mm | 542mm | 480mm |
| 介護保険10万円枠 | ○ 収まる | × 超える | × 超える |
| こんな方向け | とにかく安く ラップ式を試したい |
機能を妥協せず 良いものを選びたい |
狭いスペースに 置きたい |
※価格は2026年5月時点の税込参考価格です。
⑤ 介護職の私が「プリート2」を一番おすすめする理由
介護職として伝えたいこと
3機種の中で、私が一番おすすめしたいのはラップポン・プリート2です。
理由はシンプルで、ポータブルトイレに必要な機能がすべて揃っているからです。
肘掛けが跳ね上がるのでベッドからの移乗がしやすい。キャスター付きで掃除のとき移動が楽。ペーパーホルダーも付いている。暖房便座も選べる。座面高も肘掛け高も3段階で調整できる。
「安い方でいいかな」と思う気持ちはわかります。オーブ2もブリオ2も悪い商品ではありません。ただ、ポータブルトイレは毎日何回も使うものです。毎日使うものだからこそ、「あの機能があったら良かったな」と後から思いたくない。
お金を出せる方には、後悔しないために良いものを選んでほしい。現場で何台も見てきた結論として、プリート2が一番「買って良かった」と言われるトイレです。
⑥ 消耗品の種類とランニングコスト
フィルムカセット
フィルムカセットは2種類あります。
毎日使うならこちらが基本です。ポリエチレン素材のフィルムで、1カセットで約60回分使えます。
・価格:約2,640円(税込)
・1回あたり:約44円
・素材:ポリエチレン(PE)フィルム
・対応機種:オーブ2・プリート2・ブリオ2(全機種共通)
密封は熱圧着でしっかり行われるため、タイプ4でも十分にニオイは抑えられます。コストを重視するならこちらを選んでください。
※旧機種(オーブ・ブリオ・プリートの初代)をお使いの方もタイプ4は使用可能です。ただし、旧型の「タイプ3」は新機種(2シリーズ)には使えないのでご注意ください。
「驚異の防臭素材BOS」を採用したフィルムです。タイプ4よりもさらにニオイを強力に閉じ込めます。
・価格:約4,950円(税込)
・1回あたり:約99円
・使用回数:1カセットで約50回分
・対応機種:オーブ2・プリート2・ブリオ2(全機種共通)
タイプ4との違いは、フィルム自体に防臭・防菌機能があること。密封後のゴミ袋からもニオイが漏れにくくなります。
「リビングの隣の部屋で使っている」「ゴミの日まで密封袋を室内に置いておく」など、密封後のニオイも徹底的に抑えたい方にはBOSタイプがおすすめです。
※旧型の「BOSタイプ(外袋ピンク)」は新機種には使えません。必ず「BOSタイプ2(外袋透明)」をお選びください。
凝固剤
凝固剤は2種類あります。
・カタメルポリマー(個包装タイプ):1回ずつ小分けされていて使いやすい。30回分で約2,200円(1回あたり約73円)
・カタメルサーT3(スコップで入れるタイプ):コスパが良い。約60回分で約1,320円(1回あたり約22円)
初めての方にはカタメルポリマーが簡単ですが、慣れたらカタメルサーT3に切り替えるとコストを抑えられます。
1回あたりのコスト計算
フィルムと凝固剤の組み合わせで、1回あたりのコストが変わります。
| 組み合わせ | フィルム (1回) |
凝固剤 (1回) |
合計 (1回) |
月額目安 (1日5回) |
|---|---|---|---|---|
| タイプ4 + カタメルサーT3 |
約44円 | 約22円 | 約66円 | 約9,900円 |
| タイプ4 + カタメルポリマー |
約44円 | 約73円 | 約117円 | 約17,550円 |
| BOSタイプ2 + カタメルサーT3 |
約99円 | 約22円 | 約121円 | 約18,150円 |
| BOSタイプ2 + カタメルポリマー |
約99円 | 約73円 | 約172円 | 約25,800円 |
一番コストを抑えられるのは「タイプ4 + カタメルサーT3」の組み合わせで、1回あたり約66円、月額約9,900円です。
ニオイを最優先で抑えたい方は「BOSタイプ2 + カタメルサーT3」がバランスが良く、1回あたり約121円、月額約18,150円です。
凝固剤は慣れたらカタメルサーT3に切り替えるのがおすすめです。カタメルポリマー(個包装)は楽ですが、コストが約3倍になります。
介護職からのアドバイス
まずは「タイプ4 + カタメルサーT3」で始めてみてください。これが一番コスパが良い組み合わせです。使っていて「ゴミ袋からのニオイが気になる」と感じたら、BOSタイプ2に切り替えれば大丈夫です。
⑦ 介護保険は使える?
ラップ式ポータブルトイレは、介護保険の「特定福祉用具購入」の対象になる場合があります。
特定福祉用具購入の上限は年間10万円(税込)。自己負担割合が1割の方なら、最大9万円まで保険が適用されます。
オーブ2の普通便座(約99,000円)であれば10万円枠内に収まります。プリート2やブリオ2は10万円を超えるため、超過分は自己負担になります。
※介護保険の利用には要介護認定(要支援1以上)が必要です。
※実際に利用できるかはケアマネジャーにご確認ください。
⑧ ラップ式が向いている人・向いていない人
【向いている人】
・介護者のバケツ洗いの負担を減らしたい
・部屋のニオイを抑えたい
・夜間の排泄介助が大変
・本人が「排泄物を人に見られたくない」と感じている
・消耗品のコストを許容できる
【向いていない人】
・コストを最優先で抑えたい(本体+消耗品の予算が厳しい)
・排泄回数が非常に多く、消耗品のコストが負担になる
・電源の確保が難しい場所で使いたい
まとめ
ラップ式ポータブルトイレは、ニオイ・後処理・介護者の負担を劇的に減らせるトイレです。
本体は高額ですが、介護保険の対象になる場合があり、毎日の介護の質を大きく変える投資です。
3機種の選び方をまとめると:
・とにかく安くラップ式を試したい → オーブ2
・機能を妥協せず良いものを選びたい → プリート2(おすすめ)
・狭いスペースに置きたい → ブリオ2
迷ったら「プリート2」。ポータブルトイレに必要な機能がすべて揃った、後悔しない1台です。
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