この記事でわかること
円座クッションは褥瘡予防に推奨されていない
穴の周囲に圧が集中し、別の場所に床ずれができるリスクがあります。褥瘡学会のガイドラインでも使用は推奨されていません。
代わりに使うべき道具が3つある
車いすクッション・床ずれ予防マットレス・ポジショニングクッションが、現在の正しい褥瘡対策です。
円座クッションが使えるケースもある
痔や術後の一時的な使用など、褥瘡以外の目的であれば有効な場面もあります。
専門員からひとこと
「床ずれには円座クッション」という情報は今でも広まっています。しかし現場では、円座クッションが原因で他の場所に褥瘡ができてしまったケースを何度も見てきました。この記事で正しい知識をお伝えします。
目次
① 円座クッションはなぜ逆効果なのか
穴の周囲に圧が集中する仕組み
円座クッションは中央に穴が空いているため、
「患部に圧がかからない」と思われがちです。

しかし実際は逆です。
穴の周囲に体重が集中し、その周辺に強い圧力がかかります。
患部は浮いていても、穴のふちに圧が集中することで
血流が悪くなり、別の場所に新しい褥瘡ができるリスクがあります。
「穴があるから安全」ではなく、
「穴があるから別の場所に圧が集まる」という理解が正しいです。
褥瘡学会でも「推奨しない」とされている理由
現在はガイドラインでも明確に
円座クッションは褥瘡の予防・治療には適さない
とされています。
理由は
・圧が分散されない
・局所的な圧迫が起こる
・血流障害を悪化させる
ためです。
② 褥瘡ができる4つの原因
褥瘡は
外力(圧力・摩擦)で起こります。
つまり
原因を改善しなければ
何度でも繰り返します。
実際に介護の現場でも
原因が追究されずに
繰り返し発生している方が多くいます。
現場でよくある原因の4つをご紹介します。
①マットレスが硬い
マットレスが硬くて、寝返りが少ないと
特定の部位に圧が集中します。
できる部位としては
仰向けと横向きで変わってきますが
仙骨、尾骨、かかとが多いです。
②介助時の摩擦
意外と見落とされがちなのが、介助中の摩擦です。
ベッド上で体を引きずるように起こす動作は、
皮膚に強いせん断力がかかります。
介助をする側に悪意はまったくなく、
一生懸命ケアしているご家族が原因になってしまっていたケースを
現場で何度も見てきました。
「正しく介助しているつもり」でも、
やり方によっては褥瘡の原因になることがあります。
③車いすの圧迫
長時間同じ姿勢で座ることや
ずっこけ姿勢になってしまう方は
お尻に強い圧がかかり続けます。
よくできる場所は尾骨、座骨です。
④おむつの圧迫
おむつを付けており、
排泄後に長時間放置してしまう場合です。
尿を吸収したポリマーは硬くなるので
お尻の下に硬いものを置いていると
同じことになります。
おむつを付けると皮膚が弱くなるので
ちょっとの引っ張りでも
褥瘡になってしまう方もいます。
③ 本当に使うべき道具3選【専門員が解説】
車いすクッション
長時間座る方は必須です。
車いすや椅子に30分間座った状態で
動かない(自分で座り直ししない)方は
必ずクッションを使うようにしてください。
・圧を分散する
・姿勢を安定させる
Wゲルクッションは、ゲル素材を2層重ねた構造で
体圧を広い面積に分散させます。
素材のゲルが自由に動くので、勢いよく座ってしまう方にも安心して使えます。
介護保険のレンタル対象ではないため購入になりますが、
価格帯が手頃なのも選ばれる理由のひとつです。
床ずれ予防マットレス
ベッド上の褥瘡対策の基本です。
自分で寝返りが出来ない方は
検討した方が良いでしょう。
・体圧分散
・圧の集中を防ぐ
ハッピーそよかぜは、ブレスエアーという素材を使っているので、高反発・高通気性です。
今使っているマットレスや布団の上に重ねるだけで使えるので、
マットレスを買い替えなくても導入できます。
腰痛がある方に特に効果的です。
ポジショニングクッション
寝返りや体位変換をサポートします。
特定の部位だけ圧をかけないようにしたい場合や
姿勢を変えられない人に有効です。
・圧の逃がし
・姿勢保持
MOGUは安価なのでたくさん買いやすいく、
一つだと意味が無い方にはオススメ。
中身はビーズなのでへたりにくいです。
様々な部位に差し込みやすい小型で多機能なアイテムです。
④ 円座クッションが使えるケース
円座クッションが完全にNGというわけではありません。褥瘡対策以外の目的であれば、有効に使えるケースがあります。
【使えるケース①:痔・おできなど肛門周辺の痛み】
患部への直接的な圧を避けたいときは有効です。ただし長時間の使用は穴の周囲への圧集中が起きるため、30分を目安に使用時間を区切ることをおすすめします。
【使えるケース②:尾骨の打撲・一時的な痛み】
転倒などで尾骨を打った直後の一時的な除圧目的であれば使用を検討できます。この場合も長期使用は避けてください。
【注意点】
すでに褥瘡がある方や皮膚が弱い高齢の方への使用は悪化につながる可能性があるため、医師や看護師に相談してから使用してください。
⑤ 専門員が褥瘡を見るときに必ず確認すること
褥瘡ができたときに私が必ず確認するのは、「どこにできたか」「形はどうか」「なぜできたのか」の3点です。
この3つを見るだけで、原因はほぼ特定できます。
たとえば仙骨にできていれば「ベッド上での圧迫」、座骨や尾骨にできていれば「車いすや椅子での長時間座位」、かかとにできていれば「マットレスの硬さと寝返りの少なさ」が原因として疑えます。
褥瘡ができるのには必ず原因があります。道具を変える前に、まず原因を探すことが繰り返しを防ぐ一番の近道です。
まとめ
円座クッションは穴の周囲に圧が集中するため、褥瘡の予防・治療には適していません。褥瘡学会のガイドラインでも推奨されておらず、正しい対策は「原因を取り除くこと」と「適切な道具を使うこと」です。
褥瘡が繰り返しできている場合は、マットレス・介助方法・車いすの姿勢・おむつ交換のタイミング、この4つのどれかに必ず原因があります。まず確認してみてください。
道具選びに迷ったら、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談するのが一番の近道です。



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