介護用品で出来る腰痛改善

健康関連

高齢者の方、介護をしている方、介護関係の仕事をしている方で、最も多い悩みは「腰痛」です。

腰痛、腰が痛い

腰痛貯金とは?

皆さん、「腰痛貯金」という言葉をご存じですか?

「腰痛借金」とは、松平浩東京大学医学部附属病院特任教授が提唱している概念で、猫背や前かがみの姿勢によって腰、特に腰椎(L4/L5)の椎間板に蓄積される負担のことをいいます。

前かがみや前傾姿勢になることが多い日常生活の中で、私たちは知らず知らずのうちに「腰痛貯金」を貯めこんでいます。
そしてある日、何かのはずみで痛みが現れます。それを何もせずに放っておくと、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアなどになり、一生付き合っていかないといけない腰痛になります。

るーん
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腰痛貯金が貯まってしまって、腰痛が慢性的になれば、改善は難しいといわれています。痛み止めで何とか毎日を過ごしている方が多くいます。

そのため、腰痛は予防が最も大事です。

「前かがみになって、重いものをもってはいけない

これは皆さん、よく言われていることですよね。では、何kg以上のものを持つと、より腰痛リスクが高まるのかは知っていますか?

男性の場合
体重の40%以下の重量物を取り扱うことが推奨されています。
 例えば、体重60kgの男性であれば、24.0~25.0kgまで
女性の場合
体重の24%以下(男性の60%)の重量物を取り扱うことが推奨されています。
 例えば、体重50kgの女性であれば、12kgまで

あくまで一般的な数字ですが、これ以上重いものを持つと、腰痛貯金が貯まることになります。

例えば…人間です。

高齢者の平均体重は、女性で50kg前後、男性で60kg前後なので、軽くオーバーしています。
介護は人を抱える場面が多くあるので、腰痛に苦しんでいる方が多く見られるわけです。

るーん
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私は福祉関係の学校を出ているのですが、同級生たちのほとんどは慢性腰痛になり、介護の現場から離れていきました。

高齢者の方は、今までの日常生活で蓄積された腰痛貯金が貯まり、介護をしている方は、人を抱えることで腰痛貯金が早く貯まって、最終的に爆発し、慢性腰痛になる可能性が高いというわけです。

日常生活での予防策は?

腰痛にならないためには、どのような対策をしたら良いのでしょうか?

まずは日常生活で「前かがみにならないこと」です!

例えば、顔を洗う時、前かがみになっていませんか?シャワーを浴びるときに前かがみになっていませんか?料理を作る時に、前かがみになっていませんか?

こういう日々の積み重ねが腰痛貯金になってしまうんです。

・洗面所で顔を洗う時は、なるべく足を広げて上体を低くする。
・シャワーを浴びるときは、前からでなく後ろ向きに浴びる。
・高さの合った台所で作業をする。

など、前かがみになっていないか意識してみてください。この意識してみる、が大事です。


介助動作での予防策は?

介護で腰痛にならない介助方法を知るためには、そのような勉強会に行き、実際に体験して取得しなければなりません。

よく、退院前に家族指導として、ベッドから車いすに移動するための移動介助をご家族様に伝授して、それから退院される方が多くいます。(ひどい場合は何もない場合もあります)

私は、腰を使わずに利用者様を移動する方法を10年以上勉強し、1年以上は実践していますが、それでも完璧に出来たなと思うことは少ないです。
「今のは腰に悪かった」「今の動きは下手だったな」と感じる日々です。

それなのに、ご家族様がそんな数日で取得できますでしょうか?

答えは「NO」です。

私は、介護技術というのは、とても高度な技術だと思っています。
過去にご家族様で、腰痛予防がしっかりと出来ている方は1000人中2人くらいでした。

るーん
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介助技術は、見様見真似や何となくであれば、すぐに出来るようになるのですが、腰痛予防を含めた介助技術となると…。




そこで活用してほしいのが、介護用品/福祉用具です。

介護技術を取得するよりも、介護用品を扱うことは簡単です。
そして、介護士やご家族様、ご本人が腰痛にならないようにするための介護用品がたくさん出ており、団体もたくさんあります。

・日本ノーリフト協会

こちらは、人力での介助ではなく、適切な介護用品を使って介助をし、腰痛にならないようにしようと動いている団体です。

ノーリフトケア・ノーリフティングケアの日本ノーリフト協会
「ノーリフティングポリシー -持ちあげない看護・抱えあげない介護-」で、看護・介護・福祉の現場から職業病としての腰痛をなくしていきましょう。

私が知っている中で、最も介助に関する腰痛予防に力を入れている団体で、セミナーや介護用品の紹介なども全国各地で行ってくれています。

腰痛予防になる介護用品とは?

では、腰痛を予防できる、腰に負担がかからないようにするための介護用品とは、どのようなものがあるのでしょうか?

スライディングシート

スライディングシートは、身体の下に差し込むことで摩擦を無くし、ベッド上での姿勢や、椅子での姿勢を整えるシートです。

ベッドの頭側に移動したくて身体を持ち上げて移動している方にオススメです。
下肢麻痺の方で、ベッドから足を下ろすのが大変な方は、下ろす前に足の下に敷くと、下ろすのが簡単になります!

介護認定を受けている方は数百円でレンタルでき、購入だと2000円~5000円くらいです。

るーん
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ゴミ袋での代用はオススメしません。(単位数が足りない方、金銭的に厳しい方には苦肉の策になりますが、介護用品に詳しい方ならご紹介しないと思います。)

スライディンググローブ

スライディンググローブは、腕にはめるグローブの形をしたスライディングシートです。

スライディングシートは大きく、身体の下に差し込まないといけないので、少し時間がかかります。
それに比べてスライディンググローブは自分の腕にはめるだけで使えるので、とても簡単で時短です

こちらも、ベッド上で身体を移動させたいときに使います。
シートに比べて力はいりますが、身体の重心がかかっているお尻と肩甲骨あたりに手を差し込むことで摩擦を無くすことができ、滑らしながら移動ができます。

こちらはスライディングシートよりも低価格で販売のみとなります。

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枕から肩甲骨までスライディングシートお尻と背中にスライディンググローブを差し込んで移動させる二刀流のやり方や、シートとグローブが一体化した商品もあります。


スライディングシートやスライディンググローブは色々なメーカーが出しており、滑りやすさ、サイズ、滑る方向、耐久性などが異なりますが、私はモリトーさんの移座えもんシリーズを使っています。

スライディンググッズ「移座えもんシリーズ」一覧 | 株式会社 モリトー | 介護リフトの製造・販売・レンタル | 愛知県一宮市
移座えもんは、 移動や移乗、ポジショニングを容易に行えるスライディングシートやボードのシリーズ商品です。滑りが大変よいだけでなく、使用や洗浄など簡単に行えるよう工夫されたデザイン、仕様で、移座えもんシートは2015年プラネットで賞をとりました。   【ラインナップ】 【移座えもんシーグロ】 移座えもん「シート...

スライディングボード

スライディングボードは、ベッドから車いすなど座った状態で移動するときに使うボードです。

立ち上がれない、お尻が上がらない方に、ボードの上を滑らすことで持ち上げることなく乗り移ることができます。

※ただし、何かに掴まって座ることができる方に限られます。支えないと後ろや横に倒れていってしまう方には2人での介助がオススメです。

レンタルと販売の両方ありますが、こちらはレンタルの方がオススメです。

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腰に負担のかからない、ベッドから車いすに持ち上げて乗り移す介助技術を学ぶより、こちらの練習の方がはるかに簡単です。

個人的にはラックヘルスケアさんのマスターグライドと、モルテンのスライディが扱いやすくて好きです。

マスターグライド製品情報 | ラックヘルスケア株式会社 | 日本
座位移乗用トランスファーボード(スライディングボード)「マスターグライド」の商品紹介ページです。
【トランスファーボード】スライディ|生活動作支援用具|製品情報|株式会社モルテン 健康用品事業本部
株式会社モルテン 健康用品事業本部Webサイト。トランスファーボード「スライディ」の製品情報を掲載しています。

移乗ベルト

介助方法で、禁じられていることがあります。
それは「ズボンや服、下着を持って持ち上げること」です。

これは、洋服がお尻に食い込み、傷になることが多いことから禁じられています。
手の場所は、骨盤かお尻の下です。

けれど、環境によっては掴んだ方がやりやすい場所もあります。そこで使うのが介助用ベルトです。

装着するというひと手間がありますが、そのひと手間があるかないかで、ご本人様や介護者様のお身体が守れるかどうか変わってくるのです。

リフト

持ち上げない介助をするための介護用品として、一番簡単で一番技術がいらないのがリフトです。

これはですね、よく勘違いされているのですが、スライディングシートやスライディングボードを上手に使いこなすよりも、リフトの方が覚えるのが簡単です。

70歳過ぎの介護士さんや、老々介護で80歳を越えたご家族様でも、リフトは覚えられます。

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先入観で「リフトは難しい!」と思わないでください。

リフトはレンタルになります。

サポーター

これは、介護する側の人も、腰痛が出始めた人、時々痛む人、皆さんに使ってほしいものです。

サポーターは、ずっと付けていると筋肉が付かなかったり、血行不良になったり、皮膚トラブルになる可能性が高いので、ずっと付け続けることはオススメしません。

重いものを持ったり、高いところの物を取ったり、長時間同じ姿勢でいなければならなかったり、腰痛になりやすい場面で装着するようにしましょう。

幅の広いものの方が固定感は強く、安定しますが動きにくいです。細いと動きやすいけど安定感にかけます。

サポーターに関しては、整形外科の先生と相談するのが良いでしょう。

腰痛予防になる服はご存じですか?

【リライブシャツ】は、着るだけで本来使う一部の筋肉だけではなく、身体全体の筋肉を強制的に使わせることで、身体の一部の負担を軽減させ、腰痛を予防するシャツです。

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例えば、人を起き上がらせようとしたとき、腕の力だけで起き上がらせがちですが、リライブシャツを着ていると、腕、背中、上半身すべての筋肉を使って起き上がらせるので、腰への負担も少なく、また着ていない時よりも若干軽い力でできるというものです。

胡散臭いですよね…。私もそう思いました。…買いました(笑)

私自身、今腰痛が無いので腰への負担が軽減されたかどうかは分からないのですが、人を起き上がらせるとき、確かに着ていると若干軽くなりました。若干ですが、違いが分かるほどです。

着るだけなので、効果はそこまで大きくはないと思いますが、普段着ている服を変えるだけなので、導入は簡単かと思います。腰痛持ちの方や、日常的に介護をされている方には着てほしいなと思いました。

[公式] リライブシャツ オンラインショップ「着る医療機器」
TV CMで話題!累計販売枚数100万枚突破!!「着る医療機器」リライブシャツの公式オンラインショップです。腰のこり・肩こりが改善するリライブシャツα等取扱中。楽天pay・Amazon pay対応可能!

こちらは着る医療機器といわれていますが、体幹サポート付きの服や、腰部保温機能のある服、ストレッチ性の高い服は腰痛予防になると思います。

ロボット

現在、腰痛予防ロボットは多くあります。アシストスーツですね。
アシストスーツは、モーターやバネ、人工の筋肉が搭載されていることで、腰や筋肉への負担を軽減してくれるものです。

こういう、ごついのは試したことがあり、確かにすごいのですが、なかなか導入はご家庭では難しいものです。

着やすいアシストスーツもあるのですが(ベストのような形)検証したことがないので、そういうものがあるということだけお知らせします。

最終的には筋トレ

腰痛の痛みは神経の痛みで起こる可能性もあります。

痛みを改善するには、痛み止めの飲み薬、湿布、塗り薬、ブロック注射などで、その時の痛みを取り除くしかなく、なかなか治すということが難しいものになります。

神経の周りには筋肉があります。
筋肉を鍛えて、筋肉で動かすようになると、神経の痛みが軽くなってきます。
先生も最終的には「筋肉付けるしかない」と言われます。

腰に負担がかからないように、筋肉を付けていきましょう!!

るーん
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何歳になっても筋トレは必要です!

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