
ベッドから起きようとすると、起き上がるのも、ベッドの横に座るのも、立ち上がるのも、全部の動作に時間がかかるようになってしまったんだ。夜中トイレに行きたい時は漏れそうで…。もっと楽に起き上がれないだろうか?
高齢者になると、ベッドや布団からの起き上がりがしにくくなったり、時間がかかるようになります。
夜中は力も入りにくく、時間がかかるとトイレに行くのも間に合わなくなってしまいます。
そんな時は、ベッドや布団の横に【手すり】を置くと、楽に簡単に起き上がれるようになります。
このブログでは、まずは起き上がりやすい動き、家にある家具で起き上がりしやすくする方法、最後に介護用品を使う方法をそれぞれご紹介しています。
目次
起き上がれなくなる原因は?
高齢者がベッドや布団から起き上がれなくなったり、起き上がるのに時間がかかるようになってしまうのには、原因があります。
筋力の低下
- 特に下半身(大腿四頭筋や大殿筋など)や体幹(腹直筋・腹斜筋など)の筋力が加齢とともに低下し、起き上がりや立ち上がりが難しくなります。
- 起き上がりや立ち上がりがしんどいからと寝ている時間が長いと、さらに筋力低下が進みます。
関節の硬さ・可動域の低下
- 膝や股関節、足首などの関節が硬くなったり、可動域が狭くなることで、スムーズな起き上がりや立ち上がりが困難になります。
- 長時間同じ姿勢でいることや運動不足が原因となります。
姿勢の悪化
- 背中や腰が曲がることで、体を前に倒したり足の踏ん張りが効きにくくなります。
体幹筋力の不足
- 体幹の筋肉が弱ると、足をベッドから下ろしても上体を起こす動作がうまくできず、腕の力だけで起き上がろうとしますが、マットレスが柔らかかったりすると力が上手く入らず、起き上がるのに時間がかかります。
疾患や全身状態の悪化
- 変形性膝関節症や神経・筋疾患(皮膚筋炎、多発筋炎、脊髄性筋萎縮症など)、または末期がんなどによる全身の体力・筋力低下も原因となり、若くても起き上がりにくくなります。
起立性低血圧や循環器系の問題
- 起き上がった直後にふらつきやめまいが起きる場合は、起立性低血圧など循環器系の問題も考えられます。

意外に起き上がった瞬間に低血圧になり、めまいやふらつきが原因で起き上がりにくい方も多いです。ただ、急にそうなった場合は、脳卒中などの危険性が高いので、すぐに受診しましょう。
起き上がりやすい姿勢・動作の順番
まずは何か用具を使う前に、動作の姿勢の確認をしましょう。
ベッドでの起き上がり方
1.仰向けから横向きになる
まず仰向けで寝ている状態から、起き上がりたい方向にゆっくり横向きになります。背中を曲げすぎないよう注意します。ベッドの中心で寝ている方は、横向きになったときにベッドの端にいくようにします。

2.膝を軽く曲げる
横向きになったら、両膝を軽く曲げて体を安定させます。ベッドに接している肩を後ろに、上になっている肩が前になるように位置を調整すると、より安定します。

3.肘で体を支える
下側(ベッドに接している)の肘をベッドにつけて、上半身をゆっくり持ち上げます。上側の手もベッドを押して補助します。
4.脚を床に下ろす
上半身を持ち上げながら、脚をゆっくり床に下ろします。急がず、腰に負担がかからないようにします。(これが布団だと難しいので、布団よりベッドの方が起き上がりが楽な理由の一つです)
5.座位をとる
最後に手で床を押しながら完全に座り、安定した姿勢を取ります。足の裏がしっかり床についているか確認しましょう。
6.立ち上がる
少しずつ前に出てきて、浅く座り、足を後ろに引いて、おじぎをすると立ち上がりやすいです。

起き上がりやすくするコツ・基本の姿勢
- 横向きから起き上がる方法が腰や背中に負担がかかりにくく、楽に起きられる。
- やや前方方向に起きると体を支えやすい。
- 肘は体のやや後ろにつくと力が入りやすい。
- 起き上がる側に十分なスペースを確保することで、手をつきやすく座った時も安定します。
- 座った時は足がしっかり床についていること、深く座ることが安定のポイントです
注意点
- 動作はすべてゆっくりと行い、急激な動きや体をひねる動作は避けましょう。
- 痛みが強い場合や不安がある場合は、無理をせず介助を受けてください。
布団での起き上がり方
ベッドのような「横向き→肘で支える→脚を下ろす→座る」という一連の動作では布団から起き上がれない場合、四つ這いになってから立ち上がる方法もあります。
1.仰向けで膝を立てる
仰向けの状態で両膝を軽く立てます。これにより腰や背中への負担が減ります。
2.横向きになる
動きやすい方向に両膝を倒し、体全体をゆっくりと横向きにします。腰をひねらないよう注意します。
3.うつ伏せになる
横向きからさらに体を回転させて、うつ伏せの姿勢になります。
4.四つ這いになる
両肘と膝を使って体を支え、四つ這い(四つん這い)の姿勢になります。ここで無理に力を入れず、体重を肘と膝に分散させるのがポイントです。
5.片膝を立てて立ち上がる
四つ這いの姿勢から片膝を立て、手で床を押しながらゆっくりと上体を起こして立ち上がります。
起き上がりやすくするコツ
- 一つ一つの動作をゆっくり丁寧に行い、勢いで起き上がろうとしないことが大切です。
- 腰をひねる動作を最小限にし、痛みや負担を避けましょう。
- 体重を肘や膝、手に分散させることで、腰や背中への負担を減らせます
家にあるもので立ち上がる工夫
動作を工夫してみても起き上がれない、立ち上がれない場合は、家にある家具で工夫をしてみましょう。
ベッドから起き上がる場合
1.木製の棚
ベッドの高さよりも少し高いくらいの木製の棚を真横に置くと、起き上がりや立ち上がりに掴まれるので便利。
立ち上がりの方が大変な方は、わざと離して手を伸ばせば届く距離に置くのも良し。
2.プラスチックの衣装ケース
軽いので、ペットボトルを入れて重しにするなどの工夫をした方が良いが、高さが丁度良いものが多いので衣装ケースもオススメ。
3.木製の椅子
リビングチェアやダイニングチェアなど、重くて重量があり、幅の大きい椅子は掴まれるところがたくさんあります。

マットレスの下に差し込むだけの、ベッドガードと呼ばれるものは掴まるものじゃないので、オススメしません!
布団から起き上がる場合
1.テレビ台
テレビ台は高さも低く、重量もあり、手のひらを置いて立ち上がるには丁度良いです。
物置にもなるので、移動できるならば布団の横に移動してみましょう。
2.化粧台の椅子
こちらは軽いので、扱いには注意が必要ですが、小さいので抱え込むようにして立ち上がることができます。
3.ちゃぶ台
こたつ用など、床に座って使うタイプの机は、低いので起き上がりや立ち上がりの時に掴まりやすい。

家具は「引っ張る力」に弱いので、「上から抑える力」で起き上がり・立ち上がりするように意識して使ってください!
オススメの介護用品
手持ちの家具でも起き上がるのが辛くなってきた、家具がぐらぐらして危ない時は介護用品を購入しましょう。
ベッドガードとベッド横手すりは似ているようで全く違います。
ベッドの横に使う手すり
ベッドの横に置く手すりは介護保険でレンタルができます。
どれがいいか分からない方は、コンパクトで、圧迫感があまりない【クリンディ】がオススメ。
介護保険初めたばかりの方や、まだまだ元気な方に重宝されています。
介護認定を受けていない方には、簡易的なタイプもオススメ。
※簡易版は必ずバンドなどでベッドに固定出来るものを選びましょう。
(差し込むだけのタイプは危険です。すぐいらなくなります)
日本ではあまり推奨されていませんが、海外では【はしご】も使われています。
はしごを引き寄せるようにして、起き上がります。腹筋や足の力はないが、腕の力はある方に。


日本では、このようなひも状のものは、何かの拍子に首を絞めたり、足に引っかかって転倒する危険性があると見られ、商品化されていません。
介護用品(手すり)を使っても起き上がれない場合
手すりやはしごなどの介護用品を使っても起き上がりが大変、辛い、時間がかかる方は電動ベッドを使いましょう!

ベッドが低いと立ち上がりがしにくく、マットレスが柔らかいと起き上がりしにくいので、その場合は新しいベッドやマットレスの購入も検討してください!布団よりもベッドの方が立ち上がりがしやすいので、布団で立ち上がりがしにくくなったら、腰痛がある方は早めにベッドに変えることをオススメします。
マットレスや布団が柔らかすぎて沈み込んでしまう方は、厚めの敷きパッドを敷くと、沈み込みが防げるので、起き上がりや立ち上がりが楽になります。
テイジンはマットレスの上に敷くと、沈み込みを抑えられるのでオススメです。

色々な工夫をすれば、起き上がりや立ち上がりはずっと楽になります!やってみてください!✨
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