介護業界に10年以上、身を置いています。
本日のお悩み相談は…
今は親だけで生活しているのだけど、いつまで出来るか心配で…。少しずつ物忘れも増えてきているし…。もし、親だけで生活出来なくなったら、どうすればいいの!?
離れて暮らす親御さんが遠ければ遠いほど、すぐに駆け付けられないので心配ですよね。
この相談、私もたくさん受けました。
そして、選択をして、その後に後悔している娘さんや息子さんも多く見てきました。
正直、何が正解かは分かりません!!
けれど、色々な人の体験談や、私個人の感想、介護制度などを知ってもらって、後悔しない選択をしてもらえたらな~っと思います。
自分が親の近くに引っ越す?
正直、これが出来たら苦労してる、悩んでる方はいないと思います。
…が、出来るならやっぱりコレが一番いいですね。
引っ越すのは無理でも、週に1回や、病院がある時に行けると、離れていても問題ない方が多いです!
離れていても、一人で生活できなくても、介護サービスを使えば一人で生活できます。
寝たきりでベッドの上から動けない人でも、認知症で何も分からなくても、一人で暮らせれる人は暮らせられます。
Aさんの場合
Aさんは身体が麻痺しているため、身体を動かすことが出来ません。1日に3回ヘルパーさんが来て、お食事、おむつ交換、身体を拭いたり、月に1回は車いすに座って、ATMに一緒に行って、お金を下ろしていました。先生は訪問診療なので家まで来てくれます。薬剤師の方が家まで薬を持ってきてくれます。Aさんは一人の時間はテレビを見たり、次に買ってきてもらうご飯の内容を考えたりして過ごしていました。
Bさんの場合
Bさんには認知症があります。子供の顔は分かりますが、5分前に自分が何をしていたのか、ご飯は食べたのかどうかも分かりません。週に6回デイサービスに通っています。朝ご飯は食べずにパジャマのままでデイサービスに行きます。デイサービスに着いたら着替えたり、お風呂に入ったりします。夜ご飯は配食弁当を頼んでいるので、デイサービスの方が机の上に置いて、古い容器を出しといてくれます。ご飯を食べたらテレビを見て、眠くなったら眠ります。日曜日は、お子様が3人いらっしゃるので、ローテーションで見に来られています。
私たち介護スタッフが「とても夫婦やお一人では無理だろう…」という方でも、意外と生活出来ている方は結構います。
自分たちが出来る範囲に合わせた介護サービスを使えば、離れていても生活は出来ます。
逆に、これはご夫婦やお一人での生活は無理だった…というケースもあります。
Cさんの場合
Cさんは明るく元気で、とても社交的です。ある日、Cさんは買い物からの帰り道、自分の家が分からなくなってしまいました。その日は警察に保護されて家まで帰ることができました。本人様もびっくりしており「たまたまよ」と言っていたので、大丈夫かなと息子さんは心配してはいたのですが、その後も出かけては家が分からず、警察の方に保護され…。とうとう、警察の方より注意されてしまいました。息子さんは、一人で出かけないようにお願いしました。買い物は自分がネットで送るし、ヘルパーさんが買ってきてくれる。買いに行く必要が無いように介護サービスを使いました。けれど、Cさんは出かけてしまい、また迷子になってしまいました。鍵をつけても壊して出てしまいました。お一人での生活は、無理だと判断しました。
このように、ご自分で家事をやってしまう、出かけてしまうという意欲的な性格の方は割と厳しい場合が多いです。
出来ないならヘルパーさんに任せる、配食弁当にする、お風呂は家では入らない、という風に【誰かに頼ることができる方】の方が、一人でもたくましく生きていけるのかもしれません。
自分の家の近くに引っ越してもらう?
お一人では生活が出来なくなってしまった、心配になってきたと、同居するか、ご自身の家の近くに家を借りて、そこに引っ越してきてもらうという方法もあります。
仕事がある方は、なかなか動けないので、来てもらった方が助かりますよね。
私個人の感想ですが、ご本人様に引っ越してもらって良かったケースは…ほぼありません。
ほぼなので、全く無いわけではありません!
Dさんの場合
Dさんは長年家庭を守るために生きてきました。友達もほとんどおらず、話すのはご主人と娘さんだけです。ご主人が他界し、一人になってしまったので、娘さんが心配して、ご自身の家の近くの1Rマンションに引っ越してもらいました。日中は一人で編み物をしたり、娘さんが休みの日は一緒にご飯に行ったりして、ゆったりとした時間を過ごしています。
私の意見としては、故郷や地元愛がそんなに無い方、友達があまりいない方、ほとんど家で過ごしていた方、ご家族様との関りがほとんどだった方は、引っ越ししても変わらず生活出来ているように思えます。
そうではない方、馴染みの店がある、お友達が多い、過ごした場所が好きな方は、高齢になり引っ越すことに強い抵抗感を感じられます。それでも、一人やご夫婦で暮らすことが厳しくなり、お子さんの近くに引っ越した場合…結構な確率で認知症になる方が多いです。
Eさんの場合
Eさん夫婦は娘さんと離れた場所で暮らしており、飛行機で行かないといけない距離でした。娘さんはとても心配性な方で、まだ元気なうちに近くに来てもらった方が、色々と連れていけるしいいのではないかと思い、自分と同じマンションに引っ越しをお願いしました。Eさん夫婦は、今後娘さんにお世話になるかもしれないからと、引っ越ししたくはなかったのですが、娘さんの言う通りにしました。娘さんは、まだまだ歩けるんだから、近所を探索したり、新しいお店に行ったりして環境に慣れてほしいとお願いしましたが、Eさん夫婦は今更新しい場所に行くのがおっくうで家から出なくなりました。引っ越ししてから一か月ほどでお二人とも認知症の症状が出始めました。娘さんは慌てて介護申請をしました。
お子さんが心配して同居したものの、「最期は故郷に帰りたい」といって帰られた方もいます。
私には、それが幸せなのか分かりませんが、過ごしてきた場所が大切な方ならしない方がいいなと思います。
施設に入るのは?
「施設に入れるなんて可哀想」「ご近所さんから何て言われるか…」「親戚から反対されてて…」
なんて意見を未だに聞きます。
そんなことは無い!!私は声を大きくして伝えます!!
Fさんの場合
Fさんは息子夫婦と同居していました。Fさんはとても気を使う方なので、息子のお嫁さんに気を使いすぎてしまい、あまり関係はよくありませんでした。Fのご主人が、少しずつ認知症が進行していったとき、息子さんから「施設に入ってくれないか」と相談がありました。当時はショックだったそうですが、迷惑をかけるわけにいかないと、ご自分で施設を何件か探して見学に行き、一番気に入ったところに夫婦で入られました。入ったあとは誰に気を使うわけでもなく、毎日が楽しいととても生き生きとしていました。そこの施設で行われている華道にも参加し、お友達もでき、「もっと早く施設に入れば良かった」と言っていました。
施設の形態も時代によって流行りがあります。金額も規模も内容もサービスも何もかも違います。
何を基準に考えればいいの!?と悩むことでしょうが、結局は、どこまでのサービスを求めるか、どこまでの金額が出せるのか、によります。
物価も高騰し、人材も減り、施設入所の金額は上がり、サービスが下がっているのは確かにあります。
大まかに、月20万円が最低限の生活、30万円で少し余裕のある生活、10万以下だと入れる施設がかなり限られる…くらいに思ってもらえたらと思います。
もちろん地域性もありますし、よーく探せば安くてサービスが充実している施設もあります!
狙い目は、オープンしたばかり、オープンする前に募集がかかっており、新規入所者様何名限定!で安く入れる施設です。オープンしたては入居者様が少ないので、早めに入ってくれる方がいると、次の方が入りやすくなります。そのため、最初は安く設定している施設が多いです。
施設に関しては、これはもう事前に見学して、スタッフの利用者様への声掛け具合、入居者様の表情、ご飯の味の相性、入居者様との相性、どこまで施設サービスがあるのか、自分で頼まなければならないサービスは何かなど、きちんと調べることが大事です。
大体の方が、急に施設に入らなければならないようになってしまって、慌てて探すが良いところがどこか分からなくて適当に…という方がほとんどで、ほとんどの方が事前に検討しておけば良かったと後悔しています。
なかなか見学までは行けなくても、検索してチェックすることはただなので、しておくことをオススメします!
施設紹介サイトがたくさんありますが、厚生労働省の介護情報公開サービスで検索すると安心でしょう。
お金があるなら介護サービスを受けれる、お金がないなら家族が看る。そんな時代です。
私だったら、ギリギリまで介護サービスを使って家で生活してもらい、その間に良い施設を探す…という方法を取りますかね。
なかなか遺産の話くらい、話しにくい話ではありますが、いざという時に焦って不適切な選択をしないように早めにご家族で話し合ったり、ご自分で決めることをオススメします!!
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