介護保険で介護用品をレンタルする仕組み。買った方が安い?正直に答えましょう!

介護用品/専門相談員とは
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Xでとある投稿を見ました。

「毎月3000円で歩行器をレンタルするなんて、Amazonで買ったら1万くらいなのに…。3ヶ月で元が取れる。勿体ない!」

突っ込みどころ満載の投稿でしたね!

このブログでは、介護保険で介護用品をレンタルする仕組み、その裏側、本当はレンタルと購入どっちが得なの?元を取るには?など、正直に紹介しております!

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介護保険でレンタルする仕組み

65歳以上、40歳以上で特定疾患をお持ちの方は、介護認定を受けることができます。

介護認定を受けて、要支援①(一番軽いもの)でも下りれば、介護保険を使って介護用品をレンタルすることができます。

負担割合は、1~3割で、その方の資産や収入によって負担割合は変わってきます。

ほとんどの方は1割なので、このブログでは1割でお話していきますね。

レンタルできる種類は?

介護保険を使ってレンタルできる介護用品は、種類も機種も決まっています。

種類

  • 介護用の電動ベッド
  • ベッド周りの付属品
  • 床ずれを予防するもの
  • 車いす
  • 車いすクッションなどの付属品
  • 歩行器
  • 手すり
  • スロープ
  • リフト
  • 徘徊感知器
  • 排泄自動処理装置

合計13種類がレンタルできます!

機種

その中でも【TAISコード】といわれる福祉用具情報システム(TAIS:Technical Aids Information System)に登録された商品しか、介護保険を使ってレンタルすることはできません。

ホーム|公益財団法人テクノエイド協会
障害者、高齢者の福祉のために設立された公益財団法人テクノエイド協会のWEBサイトです。

メーカーさんが商品を開発し、TAISコードを取得します。

TAISコードを取得するにも、継続するにもお金がかかります

そしてTAISコードの一覧が載っているテクノエイド協会に登録されて初めて、介護保険を使ってレンタルすることができるのです。

歩行器とシルバーカーの違い

皆さん、下二つの違いが分かりますか?

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見た目はとても良く似てる…!!

しかし、上のは【シルバーカー】、下のは【歩行器】です。

介護保険でレンタルできるのは、歩行器だけです。シルバーカーは購入のみとなります。

歩行器は歩行を補助する役割のもの。

シルバーカーは荷物を運搬する目的の物(台車と同じ役割)です。

根本的に違うものです✨

最近は、シルバーカーが歩行器に、歩行器がシルバーカーに近付いています。
シルバーカーのいいところ…軽い、荷物がたくさん入る
歩行器のいいところ…安定感がある


レンタルと購入、どっちがお得?

レンタルと購入、デメリット・メリットはそれぞれあります。

レンタル購入
メリット・お試しができる
・定期点検がある(不備があれば無料交換)
・消耗品の無料交換

・処分費がかからない
・自分のものになる
・誰かに譲れる
デメリット毎月料金が発生する
・ケアマネさんがつ
・無くしたり、壊したら弁償
・処分費がかかる
・消耗品は自分で
・壊れたら自分でメーカーに

レンタルの一番のメリットは、その時々でその状態にあった介護用品に変えられるということです。

正直、歩行器を同じものを何年も使い続けている方は1割もいません。

数年で違う商品に交換したり、不具合が生じて交換したりしています。

料金は?

例えば、私がよく出すこちらの歩行器

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コンパクトで荷物も入り、軽いので、【ザ☆歩行器】というのが嫌な方や、そこまで歩行器に頼らなくても歩ける方にご紹介します。

こちら、買うと18,773円ですね。

介護保険を使ってレンタルすると、うちだと1割負担の方で月276円です。

介護保険を使わないと、月2760円です。

確かに、こちらとしては1割は利用者様、9割は国からいただいているので月2760円でレンタルしています。

7ヶ月あれば元が取れる計算ですね。

でも、利用者様は1割負担の月276円なので、69ヶ月…。約6年レンタルしたら元が取れる計算になります。

先ほどの話に戻りますが、6年間で一度も歩行器を変えなかった方はほぼいません。

例えば、車輪がすり減り、ブレーキが利かなくなったため交換。ブレーキに異常があり交換。少し歩行が不安定になってきたから、幅の広い歩行器に交換。むしろ歩行が安定したから、もっと軽い歩行器に交換。

一概に利用者様が【買った方が安い】とは言えないのです。

特に、外で使う歩行器は不具合がよく起こります。

私だったらレンタルしますが、レンタル or 購入はその方の自由でいいと思います。

家と似てるかなと思います。購入する方が、賃貸よりもお得だと一概には言えないが、それぞれのメリット・デメリットがあり、自分にはどちらが合うのか考えて選んでもらえたらと思います。

介護保険でレンタルする流れ

介護保険でレンタルする流れですが、私たちが貸して終わり。ではありません。

なぜ歩行器が必要なのか、関わっているサービスの皆さんで話し合って、合意を得て、ケアマネージャーさんが作成する【ケアプラン】(支援計画書みたいなものです)に載せてもらってから、介護保険でレンタルすることができます。

サービスとは、ヘルパーさんやデイサービス、リハビリの方、主治医の先生のことです。

まず初回は、私のような福祉用具専門相談員が、ご自宅にお邪魔します。

そこで使う環境、使う方のお身体の状況、歩行器だと保管場所、出し入れする人、使う距離、使う頻度、使う目的、色々な情報を聞いたり見たりして集めます。

日を改めて、得た情報から何台か歩行器をお持ちして、実際に試していただきます。

心の中ではだいたい1台に絞っているのですが、比べて納得してもらいたくて複数台いつも持っていきます。複数ご紹介するのも義務になりました。

一週間ほど実際に使用していただき、お試ししていただきます。

一週間後に様子をお聞きします。ここで、「歩行器が先に行ってしまって、怖くて…」など、その歩行器ではダメな理由があると、再選定です。

もう一度、別の歩行器を持ってお伺いします。

ケアマネさんや、他のサービスの方とも常に情報共有しています。何日に歩行器持っていきます、この歩行器はこういう理由でダメでした。なども共有します。

レンタルする歩行器が決まれば、書類を作成します。

国のお金を使うので、作る書類もたくさんあります。介護保険を使ってレンタルするので、契約書、計画書、選定書(複数選定が義務になったため、比較表)基本情報(その方のお身体や環境の情報シート)などの書類を作ってもう一度お伺いします。

書類にサインしてもらい、レンタルスタートです。

最低半年に一回は必ず定期点検に行くことが義務付けられています。レンタルしっぱなしにはなりません。

税金の使い過ぎ?

国から9割が支給されます。正直いうと、介護保険でレンタルしなくても…市販の商品で十分ではないかという方はいらっしゃいます。

介護保険でレンタルした方が安いので、そうする方が多くいる現状です。

そっちの方がお得なら、選ぶのは自由なのではないかな…と思います。

私も持ち帰りよりそこで食べる方がお得なので、そちらを選びますしね。



介護用品の会社が中抜きしてる!と書いている方もいました。

まず、以前は【外れ値】を設定している会社があったのは事実です。

レンタルの金額は会社で自由に決めれます。

歩行器が月3000円でも30000円でも、会社の自由でした。

そんな悪徳業者のために、メスが入り、今は【上限価格】が設定されました。

このため、きちんと適正価格でやってきた大半の事業所の仕事が大幅に増えました。

また、国への請求はとても独特です。

利用者様への請求と、国への請求で二つ請求があります。

利用者様への請求は1割負担の回収なので簡単ですが、国への請求は、介護用品と、ケアマネさんの二人で行います。

どちらかの情報が間違っていたらはねられます。(性別や、生年月日など)

最初に、恐らく今月はこのくらいかかりますという金額を出します。

その後で、実際にかかった金額を出します。

請求業務も大変です。

お試しの裏側

介護保険でレンタルするメリットの一つに【お試しができる】があります。

レンタル品は使えなくなるまで、何度もメンテナンスして使いまわします。

お試しするために、袋に入った商品を開けた瞬間に、その商品は使われたことになります。

お試しをして、選ばれなかった商品は、すぐに消毒・メンテナンスに入ります。

消毒・メンテンナンス・梱包費、運搬費、色々な費用がお試しにはかかっているのです。

けれど、お試しするだけなら無料です。

ここまで聞いて、「レンタル代月3000円なら、レンタル会社は3ヶ月で元取れるじゃん!」と思えなくなったら幸いです。

人件費もありますしね。選定する技術・知識も費用だと思っています。

実費レンタルの闇

最後に、実費レンタルの闇をお伝えします。

実費レンタルとは、介護保険を使わずにレンタルする方法です。

ことの発端は、とある会社が、倉庫に眠っているベッドを置いとくだけにするのはもったいない。

だったら、安く介護保険を使わずにレンタルしてもらおう!と始めたことから地獄が始まりました。

介護ベッドは月15000円くらいします(1割の方だと月1500円)

これが、介護保険を使わずに同じ1500円でレンタルするのが実費ベッドです。

実費ベッドは会社によって金額が違うので、それを売りにしている会社はもっと格安、重視していない会社は3000円や10000円、そもそも実費ベッドをやっていない会社もあります

これはですね、正直赤字です。何も利益がありません。

それでも、実費ベッドが必要な方がいるのは事実です。

介護ベッドは要介護②以上がでないと介護保険でレンタルできません。

要介護①の方でも必要な方は多くいます。

そんな方のために実費ベッドをやってはいますが、それ以外のレンタル品で利益を得て、実費ベッドのマイナス分を補っている状態です。

お仕事をもらうために、実費ベッドは必要経費!という感じです。

介護保険を使って、多くの方に介護用品を使って、自分らしく生活してもらえるように、支援しています。

なかなか、自分が誇りをもって行っている仕事を悪く言われるのは悲しいことですが、介護用品の重要性を分かってもらえたら嬉しいなと思います。

介護用品で世界は変わります!

もっともっと介護用品の良さが広まりますように✨

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